2019-09-20から1日間の記事一覧

老狼陋巷に死すべし 第二部 明彦

第二部明彦1 君たちに問う。君たちは、この私が起こしたとされるあの忌まわしい事件のことをまだ憶えているか?いくら情報が氾濫し次から次へと新しい事件が起きる世の中とはいえ、あの事件、アルトルム社と丸木良也に関連する、というよりも公的にはこの私…

老狼陋巷に死すべし 第一部 鎮男

オマージュ 玄の森公園は、アートルム社の城下町と呼ばれる新信州市の高台にあり、そこからは、四季折々に装いを変える山々や、市街を縫うように流れる彩川を一望することができる。公園はとても広く、天文台付きの少年科学館や、真っ白な水をときおり間欠泉…

take the A Streetcar Named Desire

2011/10/22 19:40 バックにデューク・エリントンの「A列車で行こう」を流しながらお読みいただくと、より臨場感が期待できるものと信じます。 アホか、お前ら! いえいえ、もちろん皆様のことではありません。これは、わたしの大嫌いな井筒和幸氏がある雑誌…

死は生による最高の発明品である

2011/10/08 14:23 S・ジョブズは、スタンフォード大学の卒業生を前に「死は生による最高の発明品である」と説いた。わたしは、実はこの言葉を柳沢桂子さんの著書「われわれはなぜ死ぬのか」でも目にしたことがある。柳沢桂子さんは、生命科学者であり、その…

S・ジョブズを悼む

2011/10/06 10:36 とうとう、この日がやってきてしまった。スティーブ・ジョブズが亡くなってしまった。 ジョブズをなぜ、わたしなどが惜しむか。それは、氏のスタンフォード大学での名演説に感動し、それ以来、すっかり氏の生き方に魅了されてしまっていた…

子規の悟り

2011/09/12 22:03 「悟りといふ事は如何なる場合にも平気で死ぬる事かと思って居たのは間違ひで、悟りといふ事は如何なる場合にも平気で生きて居る事であつた」子規はこのように言っている。なるほどと肯かされる言葉ではある。けれども、本当にそうだろうか…

白昼夢

2011/08/29 21:39 もう何年前からだろう、歳をとったせいなのか、それとも友人がくれたある小説に一時のめり込んでしまったせいなのか、ちょくちょくと同じ、それもとても奇妙な夢を見るようになった。いつも明け方にその少女はやってきて、わたしをとても幸…

白昼夢2

2011/08/29 23:53 わたしは墓前に手向ける花を用意すると、彼の家を訪ねた。実は、彼の家はお寺だった。今は代替わりして、本来であればMが跡を継ぐはずであったのであろうが、彼の妹であるNが婿をとって寺をつないでいるのだった。そのお寺は、小学校の裏手…

白昼夢1

2011/08/29 23:52 もう何年前からになるだろう、歳をとったせいなのか、それとも友人がくれたある小説に一時のめり込んでしまったせいなのか、ちょくちょくと同じ、それもとても奇妙な夢を見るようになった。いつも明け方にその少女はやってきて、わたしをと…

サンダカン八番娼館2

2011/08/29 12:07 昨日からサンダカン八番娼館を読み始めた。 山崎朋子さんの本はこれが初めてだが、読み始めてすぐに、これはすごいと思った。すごいのは本の中身もだが、なによりも山崎さんのバイタリティである。そして、彼女の取材対象となったおサキさ…

予見の問題なのか(東電裁判に思う)

東電の旧経営陣と呼ばれる人たちに無罪の判決が出た。この裁判の争点は、大津波の予見性にあったという。 東電設計(東電の子会社)が注進に及んだ高さ15.7メートルの津波の可能性を3人の旧経営陣は確かに聞いていた。だから、少なくとも東電設計の予見(予…