2009/12/01 21:34
先日、コンラート・ローレンツについて少し書いた。このローレンツという人も一般人の目からはかなりの変わり者と映るのではなかろうか。
彼自身がこんなことを書いている。ある日、街中を歩いていて何気なく空を見上げると一羽の鸚鵡が上昇気流に乗って高く舞い上がろうと一生懸命羽ばたいていた。そのとき忽然と彼の中に悪戯心が沸き起こった。次の瞬間、ローレンツは両手をメガホンにして空に向かって大声で何か叫んだのである。
道を歩いていた人たちはいったい何事かと怪訝そうな顔をローレンツに、そして次に空に向ける。すると、上昇途中にあったその白い鸚鵡は、急転直下ローレンツめがけて駆け下りてくるではないか。そして、道を歩いていた人たちもローレンツの肩にふわりと舞い降りた鸚鵡に安心してにこやかな笑顔を浮かべた、という話である。
実は、ローレンツにも確信はなかったらしいのだが、その鸚鵡はローレンツの飼っている鸚鵡だったのである。しかし、彼自身が述べているように、上昇しようとしている鳥が急転直下するには相当の決意を要するものらしい。
鸚鵡については、わたしは自慢だが少しばかり博識である。なにせ、ペットショップで右手人差し指を思い切り咬まれた経験がある(この辺の事情は、「好奇心について」をお読みいただければ幸甚である)。
まず鸚鵡という鳥は長生きである。50年くらいは生きるらしい。だから、小さい子供のときからペットとして飼えば生涯の友となるかも知れない。ただし、鸚鵡には鸚鵡病というリケッチアが原因の病気があるから注意しなければならない。リケッチアは、旧名トリポネーマともいい、梅毒やクラジミアという性病を引き起こす菌と同じ仲間である。
もう一つ。大西洋無着陸横断飛行を成し遂げたリンドバーグは、そのパーティの席で鸚鵡にとっては大変侮辱的な次のような言葉を残している。
「みなさん。話すことのできる鳥、鸚鵡は、実はあまり飛ぶのが上手ではないのです」
たったこれだけの台詞で万雷の拍手を受けたというから、リンドバーグの頭の良さが分ろうというものだ。
最後に少しばかり品の悪いジョークをひとつ。
ある港町。一人の黒人が肩に鸚鵡を停まらせて立っていた。そこに白人の船員がやってきて言った。
「ほう。なかなか立派なやつじゃないか。いったいどこで手に入れたんだい」
すると、
「アフリカでだよ」
という答えが返ってきた。肩に停まった鸚鵡からである。
最後の最後にもう一つ。
♪人の言葉を、喋れる鳥が 昔の男(ひと)の、名前を呼んだ 憎らしいわね
梓みちよの歌である。