存在しないもの

「この世にないもの」はあるだろうか?

あるとしたら、それを絵に描けるだろうか?

この世に光より速いものはない。それは相対性理論により明らかだ。

しかし、ものは考えようで、光より速いものはこの世に存在しないことが真実であっても、光より速いものがあの世に存在しないとは言えまい。

光の速度を超えたとき、それはあの世のものになってしまうのだ。

わたしたちは、この世に存在している。だから、当然にこの世のことしか分からない。分からないし、分からないことをいくら考えても無駄でしかない。

あの世はこの世とまったく干渉しないからである。この世が第一象限であるなら、あの世は第三象限である。

そこで起きていることをわたしたちは知ることができない。

ただ、知ることができない=存在しない、とはならないはずだ。

たしか、ジュール・ベルヌだかが言ったように「想像できることは必ず存在する」のである。

わたしなら、さらにそれにこう付け足すであろう。

「わたしたちの想像の及ばないことも必ず存在する」と。