無法松の一生

2011/05/15 23:55


BS無法松の一生 ミマシタ ナキマシタ。まさに古き良き日本。この時代にはまだこんな純な男がいたのだ。

男命の純情は燃えて輝く金のほーし。

三船敏郎が良かった。高峰秀子も良かった。この映画は、ベネチア国際映画祭で金獅子賞を受けている。
しかし、こんな日本人の繊細な気持ちがヨーロッパの人に理解できたのだろうか、と正直なところ疑問に思ってしまう。

飲み屋でふと見たポスターに思慕する高峰演ずる未亡人の姿が重なって見える。老いた松五郎は、縁談をすすめる出世して二人目の子供が腹の中だと言う旧知の男に、俺は嫁の代わりにあのポスターをもらう、と言うのだ。泣かせてくれる。
これこそ、真の忍ぶ恋。恋の中でも最も上等な恋。

松五郎が死んで遺品を検めていると、行李の中に未亡人とその息子のために貯金まであった。また、車引きをやって未亡人からもらった謝礼の包みなどは一切封も切らず、そのまま行李の底にしまっていた。
松五郎のこの純情に心を打たれぬ者はいないだろう。
やはり、人間にとって最も大切なものはこのような心であると思ったしだいである。