2019-11-01から1ヶ月間の記事一覧

今日の迷言:2015.10.13

2015/10/13 08:55 赤子と聞くと笑い、御子というと神妙な顔をする不思議 われらはみな、神の子である、らしい。もちろんキリストも神の御子であった。ただ、わたしは神の存在を信じないので、自分自身が神の御子などとは思わない。神が存在するとしても、人…

超訳 荒野の呼び声 11

2015/10/12 22:49 ペラールトには何も考えが思い浮かばなかった。思い浮かばなかったのは、彼がカナダ政府に選ばれた郵便配達人だったからである。彼は、あらゆる危険を冒し、その小さな鼬のような顔を氷や雪の中に突っ込んで、まだ空の明けやらぬうちから暗…

超訳 荒野の呼び声 10

2015/10/11 09:21 第三章 原始に支配された野獣 バックを原始が支配しはじめた。厳しい橇引きの生活の中でそれは日増しに強くなっていった。しかしそれはまだ密やかなものに過ぎなかった。彼の中に新生した狡猾さはまだ威厳と抑制を保っていたのである。彼は…

超訳 荒野の呼び声 9

2015/10/10 10:04 彼の進化(あるいは退化)は速かった。筋肉は鋼鉄のように強靭になり、多少の痛みなら感じなくなった。外的にも内的にも効率が高まった。たとえ反吐が出そうなものでも、とても消化などできそうにないものでも喰ってしまったが、ひとたび腹の…

超訳 荒野の呼び声 8

2015/10/06 20:20 その日、彼らはフル荷で四〇マイル(六十四キロメートル)走った。翌日も、そしてその後の数日も、彼らは走れる限りの時間を目一杯使って懸命に橇を走らせ自分たちの記録を塗り替えた。いつもの通りペラールトが先頭を走り、かんじきの足で雪…

超訳 荒野の呼び声 7

2015/10/06 11:26 翌朝、他の犬たちが起き出してキャンプ場が騒がしくなっても、バックは眼を開けようとさえしなかった。そもそも彼は、今自分がどこにいるのかさえ分かっていなかった。夜の間に降り積もった雪で彼は完璧に埋もれてしまっていたのである。雪…

超訳 荒野の呼び声 6

2015/09/30 11:19 午後になって、郵便物配送の出発準備で忙しいペラールトがもう二頭、犬を連れて帰ってきた。ビリーとジョーがその犬たちの名前で、二頭ともハスキー犬の兄弟であった。しかしこの二頭は、一頭の母犬から産まれたわりには昼と夜くらいに性格…

超訳 荒野の呼び声5

2015/09/29 08:22 第二章 棍棒と牙の掟 バックのダイイービーチでの初日は悪夢そのものだった。一刻一刻がショックと驚きの連続だった。バックは文明の中心から突然何者かに掴み上げられ野蛮の真っただ中へと放り出されてしまったのである。怠惰な、太陽の恵…

超訳 荒野の呼び声4

2015/09/27 16:12 おりにつけ見知らぬ男たちがやってきては、皆一様に興奮した面持ちで赤いセーターの男とそれぞれ独特の言葉巧みな値切り交渉をしていった。そして両者の間で金のやり取りがあると、これらの男たちは一頭、あるいはそれ以上の犬を引き連れて…

超訳 荒野の呼び声 3

2015/09/23 15:05 「さぁて、赤いめんめの悪魔くん」と男は、バックと距離を保ちながら言うと斧を落とし、棍棒を左から右手へ持ち替えた。 バックはまさに赤い目をした悪魔だった。彼は男に飛びかかろうと一瞬身をかがめたが、その毛は逆立ち、口からは泡が…

今日の迷言:2015.09.23

2015/09/23 13:13 きんもくせい、おれもくせえし、みなくせぇ 金木犀の匂い立つ秋がやってきた。わたしは、初めてこの匂いを嗅いだとき、大げさではなく、天上からの匂い、と感じた。ところが、金木犀とトイレ(というより便所か)とが切っても切れぬほどの縁…

超訳 荒野の呼び声 2

2015/09/21 14:52 しかし、バーの主人は彼に構わず放っておいてくれた。翌朝、悪党面をした四人の、襤褸を纏ったような粗野な男たちが倉庫の中に入ってきてバックが閉じ込められているコンテナを持ち上げた。新たな虐待者ども、と思い、バックは格子に飛びか…

超訳 荒野の呼び声

2015/09/20 12:28 荒野の呼び声 原作 ジャックロンドン 訳 荒野一狼 古き放浪の憧れにこころ躍り 文明のくびきに歯噛みする 再びその長き冬の眠りより 醒めて野生の血を呼び起こせ 第一章 原始の真っただ中へ バックは新聞を読まなかった。故に彼は、これか…

今日の迷言:反対の反対、なのだ

2015/09/15 12:13 寂聴さんは安保法案改正に反対らしい。もちろん、氏は安部政権にも反対である。 なにしろこの人の耳には、安部さんが進める安保法案から軍靴の響きが聞こえるらしい。いったいどんな耳をしているのだろうと余計な心配をしてしまう。もうひ…

今日の迷言:2015.08.27

2015/08/28 00:19 While you are ploclaiming peace with your lips, be careful to have it even more fully in your heart. アッシシの聖フランシスの言葉だが、今日の安保改正に異を唱え、これは戦争法案だなどと声高に叫ぶ連中にこそ言い聞かせたい言葉…

今日の迷言:8月25日

2015/08/25 13:20 喜怒哀楽は味蕾と同じ感受性によるものである。 甘い、しょっぱい、辛い、苦い、旨い、酸っぱいという舌で味わう感覚は、エモーションと結局は同じものではなかろうか。 つまり、エモーションとは言っても、それほど大したものではないとい…

福田恒存 当用憲法論 引用(狼魔人日記より)

2015/08/14 16:27 狼魔人日記 沖縄在住の沖縄県民の視点で綴る政治、経済、歴史、文化、随想、提言、創作等。 何でも思いついた事を記録する。 福田恒存の「日本国憲法=米製翻訳憲法」 憲法の日にちなんで、町工場の親方さんのコメントよりの孫引きで、「平…

潜在意識と戦争

2015/08/13 10:10 明後日は70年目の敗戦記念日?である。この日の前後に、日本人の身にどのようなことが起きたのかおさらいをしてみよう。 ・3月10日、東京大空襲により10万人の無辜の民が殺された。・8月6日、9日、ウラン型とプルトニウム型という二つの核…

今日の迷言:2015.08.11

2015/08/11 14:33 原発よりも種の絶滅という状況を止めねば!: 本日、川内原発がいよいよ稼働可能になった。地球温暖化の見地から考え大変にありがたいことである。 ところが先週の金曜日、首相官邸前を歩いていて、例の原発稼働反対派のばあさん、じいさん…

鏡と電気、あるいはすべては幾何学であること

2015/08/11 11:43 電流と磁束と運動の方向という三者の関係を表すものにフレミングの右手、および左手三指の法則がある。 ここで、たとえば右手の三指を鏡に映してみれば、鏡は左手の三指を示すことになる。このごく当たり前のことから、次のことが分かる。 …

朝鮮人従軍慰安婦と特攻隊員との齟齬 4

2015/08/11 10:12 単純なる散文への描写や、安易な推察は留めるとしても、光山が日本への呪詛や罵りの言葉を一片も残していないことは、軽視すべからざる事実として記しておきたい。 先の大戦中、特攻に限らず多くの朝鮮人が日本人と共に戦った。それら全て…

朝鮮人従軍慰安婦と特攻隊員との齟齬 3

2015/08/11 10:08 特攻隊への志願 昭和19年10月、光山は陸軍少尉を拝命。順調な昇進だったが、翌11月、そんな彼を思わぬ不幸が襲った。京都にいた母親が逝去したのである。死に目にも会えなかったが、父親から伝えられた母の遺言は、 「文博はもうお国に捧げ…

朝鮮人従軍慰安婦と特攻隊員との齟齬 2

2015/08/11 09:19 特攻隊員として出撃した光山文博 早坂隆(ノンフィクション作家) 訪日と入隊 大東亜戦争下、「航空機による特攻」で戦没した日本軍将兵の数は4000人を超えるが、その中には20名ほどの朝鮮人も含まれていた。 その内の一人、卓庚鉉は1920年…

朝鮮人従軍慰安婦と特攻隊員との齟齬1

2015/08/08 07:00 戦後七十年が経とうとしている。それにしても喧しいのはいわゆる特亜三国の反日宣伝である。特に韓国が主張する従軍慰安婦問題などは、朝日新聞が捏造記事を載せ、河野洋平がまるで韓国に阿諛するがごとく強制性を認める個人的発言をするま…

今日の迷言:2015.08.06

2015/08/06 20:26 千鉤の弩は艶鼠のために放たず:日本人というのは、どんなことでもすぐに水に流してしまうという特別な性質をもった国民である。 こんなことは、水が豊かな土地に住むものでなければできることではない。水に流そうにもその水さえ容易に見…

意志と心

2015/08/04 07:47 以前に意志というものについて駄文をものした。 意志とは、自由意志などというように人間が自律的に何かを実行、または決定することである。そこでわたしが問題としたのは、自由とか自律とか言うけれども、本当にそうなのだろうか、という…

偶然と必然、と芸術

2015/08/02 14:58 必然と偶然は同じコインの裏表である。「わたし」という一個の人間が存在するのは偶然ともいえるし必然ともいえる。 ① なぜ、「わたし」の存在が偶然か? それは、この宇宙のあらゆる可能性の中から「わたし」が選ばれたからである。 ② そ…

数学の0、物理の0、そして空

2015/07/30 15:24 宇宙物理学の世界ではマルチユニバースの概念が一般化しつつある。マルチユニバースとは、わたしたちの住む宇宙だけではなく、無限の空間にわたしたちの宇宙と同じような宇宙が際限なく生成消滅しているという考え方である。 宇宙はビッグ…

知と情

2015/07/30 10:40 わたしの好きな藤原正彦氏によると、数学者岡潔は文化勲章受賞の折、先帝陛下の御下問に次のようにお応えしたという。 「数学は生命の燃焼によって作るのです」 この言葉には、臨席していた吉川英治も感動を覚え、もともと岡が吉川の愛読者…

Mare Fecunditatis 豊穣の海と唯識 2

2015/07/29 16:47 以上、豊饒の海全四巻を駆け足で巡ってみた。 では、聡子の謎の言葉の考察に入ろう。 この大部の小説に付けられたタイトル「豊穣の海」とは、ラテン語の訳で月にある海の名前である。つまり、豊穣とはいうものの魚一匹住まぬ荒涼としたとこ…