紐育 紐育

2011/05/14 13:02


紐育と書いてニューヨークと読むらしい。ちなみに聖林はハリウッドである。ハリウッドはhollywoodで、本当は西洋柊のことなのだが、誰かがholyと間違ったためにこうなったらしい。
 
最近、わたしは靴紐を引きずって歩いている若者の姿を見かけるたびに、なんたるちゃー、という思いを強くする。混雑する駅中をスニーカーの紐を引きずって歩いていて、誰かにそれを踏まれて転倒せぬかと心配になる。
なぜ、これほどに靴紐も結べぬ若者が増えているのか? わたしは紐の結び方についての教育、すなわち紐育がきちんと行われていないせいだと思うのである。

靴紐が解ける一番の原因は、本結び(横結び)にすべきを縦結びに結んでいるからである。つまり、結び始める最初で、たとえば右手に持った紐の端を上にして結んだなら、次に左手にある紐の端を上にしなければならない。最初も次も同じように結ぶから解けやすくなるのである。
参考までに、わたしはスニーカーの紐を結ぶときは、上の工程を各2度ずつ行っている。つまり、最初右手に持った紐の端を2回くるくると回して1ステップとする。次に左手に持った紐の端を同じくくるくると回して完了である。あとは2ステップ目に蝶結び(引き解け)になるよう工夫するだけである。これは外科医結び(surgeon knot)の応用である。

上の本結びは基本の結び方で、たとえばコンビニの袋の舌(手提げと手提げの間にある)と舌を結ぶ場合に本結びに結んでおけば、解くときに一瞬にして解く方法がある。これを縦結びに結ぶと、簡単には解けない。これは是非ネットで探して実践していただきたい。

また、ぜひ覚えておきたい結び方に舫結び(bow line knot)というのがある。これは、いろいろと応用が利いて、たとえば、海で溺れて救難ヘリから一本のロープが投げ落とされたとする。これを掴んで、自分の腰の周りに結ぶ。これが素早くできれば、みすみす落とさすとも済む命を救うことができる。

さらに次のような結び方(本当は結びknotではなくhitchである)もある。これは、たとえば、庭に杭を打って、紐で柵を巡らす場合などに便利である。長い紐の途中を筆記体でLの小文字を書くようにして輪っかを一つ作る。次にその輪っかの右にもう一つ、同じようにLの小文字を描いて輪っかを作る。そして最初に作った輪っかの下に滑り込ませるようにして二番目の輪っかを重ねる。こうして二重になった輪っかを杭に通して軽く縛る。後は同じ事を繰り返していくだけである。こうすると、簡単な上に頑丈な柵が出来上がる。

最後に、ゴルディアスの結び目という有名な話がある。誰にも解くことの出来なかった複雑な結び目を、アレクサンドロス3世が剣で断ち切ったという話で、日本流に言うなら快刀乱麻を断つ、ということであろう。難問を解く知恵、果断な意志。この二つが揃っていれば、人は何事も成し遂げられるであろう。