the key to midnight 2

2013/05/22 13:18

いやぁ、実に面白い。Dr.Inamuraの催眠術の腕をもってしてもまだジョアンナの洗脳は解けない。いや、一度は確かにあるSF小説を鍵に解けたのである。だが、その先にはさらに重い扉が待ち構えていた。

今、舞台は京都からシカゴへと変わろうとしている。セネター、シェルグリンの本拠地である。
また、アレックスはロンドンにも視点を定めている。いよいよ、国際的な何かがほの見えてきた。サスペンスはこのようなものでなければならない。

それにしても、作者クーンツは自身がアル中の両親から虐待を受けた経験を持つためか、登場人物それぞれの陰影描写がうまい。

おそらく、ジョアンナの洗脳を解く鍵の一つであったアルフレッド・ベスターSF小説「デモリッシュドマン」は、作者クーンツの愛読書であったに違いない。彼はアル中の両親のもと、このような作品に精神の救済を求めていたに違いないと思われるのだ。

デモリッシュドマンを読んだことはないが、これは1953年に書かれた第一回ヒューゴ賞受賞作品である。描かれているのは遠い未来、そこでは、警察はE1テレパシー能力を持つものによって犯罪を未然に防いでいる。しかし、そこにある男が登場する。テレパシーを巧みにかい潜って犯罪を行うのだ。しかし結局はその男もついには逮捕され、まったく新しい人格へ再構築されてしまうという話らしい。

クーンツは、おそらくこの小説から多大な影響を受けている。そうでなくて、この小説中のある意味深なフレーズをジョアンナの洗脳を解く鍵に使ったりはしない。それに、なにより彼はその両親のこともあり、人格の改造や心理分析に大きな関心があったことに疑う余地はない。

さぁ、早く次のページをめくろう。