本日産経抄 キャベツの青虫

2010/02/21 18:27

本日付産経抄にファーブル昆虫記の話が載っていた。

キャベツの青虫の話。この青虫には天敵がいて、その名をミクロガステルと言う。大きさ3,4mm程度の蚊のような虫であるとのこと。

その幼虫だが、青虫の体内に多数寄生し少しずつ血を吸って成長する。一気に吸い取って死なせてしまっては困るからだそうだ。そして、青虫の命が果てるところでその体を破って出てくるとある。
ファーブルが観察したところ、この虫は青虫に卵を産み付けるのではなく、蝶の卵を見つけるとそれに自分の卵を注入するということが分かった。

この話、実は「菜の花忌」で司馬遼太郎賞を受賞した宮本輝さんがそのあいさつで引用したのだそうである。
昭和22年生まれの宮本さんは子供のとき、父親から「おまえは日本人骨抜き計画があることを知っているか」と聞かれた。むろん何のことだかわからない。すると、「それならファーブル昆虫記を読んだか」と言って、教えられたのが青虫の話だった。

身につまされる話である。おそらく、もう50年も前に宮本少年はお父上からこの話を聞かされたのであろう。そして、この話が余程強く印象に残っていたに違いない。父も立派ならその息子も天晴れというしかない。

産経抄の記者がミクロガステルの卵を擁した青虫に喩えているのは、宮本氏の趣旨に沿って日本人である。しかしわたしは、この青虫を今の日本という国家に喩えたい。
今やこの日本という青虫は沢山のミクロガステルの卵を擁し、それに思う存分に血を吸い取られ息も絶え絶えになろうとしている。

産経抄の記者は、「今からでも遅くはない。『骨抜き』を止めるには、あのお父さんのような慧眼の士が何人も必要だ」と結んでいる。
わたしは、この青虫が持つに違いない免疫力に期待したい。いや、それが唯一確実な防御方法であると信じる。なぜなら、その免疫力とは他ならぬわたしたち保守の力のことなのだから。