因幡の白うさぎ

2011/05/23 22:17


むかし、むかしあったげな。
因幡の国気多ちゅう処に一匹の白兎が住んどったげな。
ある時、天が破れたぐらいの、ようけい大水が流れてな、
壱岐島まで流されて困ちょたげなわい。
そこに、わにざめと出会ったげな。
白兎は、わにざめをだまくらかして向こう岸に行ったるわいと思うて
「おまいさまの連れとどっちがようけかくらべよいな」っと言ってな。
向こう岸まで並べて「一匹・二匹・・・」って数えながら渡っただいや。
そん時に、白兎がつい「渡りに舟とはこんことだいや」って言うたけ、
わにざめはだまかされたってわかって、ようけ怒ってなあ。
白兎を丸裸にしちゃっただってや。
丸裸の白兎が砂浜で泣いとったらなあ、
大きな袋を肩にかけなった大国主命が通んなって、
「きれいな水で身を洗って樺の穂をつけたら治る」と言いなったけ。
その通りにしたらどんどん元の白毛の兎になったっちゅうことだけ。
白兎はようけ喜んでなあ、お礼にきれいな八上姫んとこに
大国主命をお連れしたっちゅうことだいや。
そのむかし、こんぽち。

山陰銘菓 因幡の白うさぎに付いていた栞より。