The burglar who thought he was Bogart


2013/05/07 09:21


タイトルは、ローレンス・ブロックのバニーシリースのひとつである。バニーとは、本屋の経営者兼泥棒で、Bernard Grimes Rhodenbarr という男の愛称である。

この本を読むのもおそらく二度目。タイトルの通り、バニーはこの本の中で自らがボニー、すなわちハンフリー・ボガートのファンであることを明かす。

ローレンス・ブロックの本を読んでいるとしょっちゅう以下のような気の利いた表現に出くわして思わずにやりとしてしまう。

場面は、バニーが二重ロックのかかったあるアパートに忍び込んでポートフォリオを盗もうとするのだが、

When the second lock sighed and surrendered, I felt the way Casanova must have felt when the girl said yes--grateful for the conquest, but sorry he hadn’t had to work just a little bit harder for it. I sighed and surrendered my own self turned the knob, stepped inside, and drew the door quietly shut.

バニーの手にかかれば二重であろうと三重であろうと錠はあたかもカサノバに口説かれた女のごとく・・・ということなのである。
陳腐とも言えなくもないだろうが、決して日本人には気障で使えない表現であると思う。

この作品でもまた、ケラーと同じくバニーは切手を収集している。切手収集はあるいは作者の趣味なのかもしれない。