赤ちゃん大いに笑う

2011/07/04 19:36


マイフェブリットともいうべきyou tubeの動画は、赤ちゃんが笑っているものだ。世の親たちは、こぞってわが赤ちゃんの歯の生え揃わない口を大きく開けて笑うシーンを撮っている。赤ちゃんの笑いにはとてつもない魅力があることを知っているからだ。

赤ちゃんが笑っていると、それを見るほうもなぜか笑いたくなってくる。心が癒されてどんな悪人でも自分が善人に思えてくるに違いない。その表情は世界共通で、アメリカの赤ちゃんだけが苦笑いしているというようなことはない。
赤ちゃんたちは、ほんとうに些細なことに声を上げて笑っている。ただそばで紙を破って見せただけで、赤ちゃんは楽しそうに大笑いする。
何がそんなに面白いのだろう、と最初は考えたりする。きっと、紙を破ると変な音がするから可笑しいのだとか、いや紙が破れるものだという発見が楽しいのだとか。しかし、笑いに理由を見出そうとするのがそもそもの間違いである、と思う。

赤ちゃんは、笑うことによって今自分がとても元気で大変愉快な気分であることを表明しているのである。そして、こんなに楽しい気分にしてくれてパパ、あるいはママありがとうと、同時に感謝の念を伝えようとしているのだ。これこそが笑いの原点なのだ。

ある宗教家は、世の中が余りに利己的なことに嫌気が差していた頃に、母親がわが子に乳をやっている姿にはっと悟りを開いたという。母親は乳を与えることによって赤ちゃんを満足させるのと同時に自らも幸福感に満たされている。これこそが、私の求めていた理想の姿だ、とその宗教家は思ったのだそうだ。
考えてみれば、今でこそ「利己的遺伝子」を誰しもが見聞きして知っているが、おそらくそのような説が唱えられる前の時代のその宗教家にしてみれば、これこそが利他と利己が何の矛盾もなく達成されている光景である、と信じたとしても不思議はない。要は、自らの遺伝子とまったく繋がりのない他者に対してもこのような、いわばwinwinの関係が築けるか、ということであろう。

わたしは、赤ちゃんの笑顔こそこの理想形だと思うのである。
自分が今とてもご機嫌であるということをママに知らせて、ママをも幸福な気分にさせているのである。これは、良好な人間関係を築く上での大きなヒントである。(笑顔と反対なのが泣き顔だが、わが子の泣き声を聞けば、犬や猫でもすぐさまその泣き声の元に駆け戻ってくるであろう。それほどに赤ちゃんの泣き声にはインパクトがあるのだ)

さて、赤ちゃんの笑顔には大人を幸せにする効果がある。しかし、この能力はなにも赤ちゃんだけのものではない。わたしたち大人の笑顔にも、ちゃーんと赤ちゃんだったころから伝わる決して色褪せることのない魔法の力があるのだ。

せめてわたしも you tubeでも見て、可愛らしい赤ちゃんだったころの無邪気な笑いを思い出すとするか。