Fury

2014/12/02 00:33

今日は映画の日で、金1100円也でピンからキリまである映画の中からどれでも好きなものが見られるということで、ブラッド・ピット主演のFuryを見てきた。

わたしの若いころそっくりのブラッド・ピットがいぶし銀の味を出していた。ひょっとすると、アカデミー主演男優賞を取るかも知れない、というほどのいい演技だった。

戦車がモチーフの映画は最近ではちと珍しい。潜水艦や戦闘機、爆撃機に比べるとどうしても泥臭いし、血生臭いから、あまり興行的にはおいしい題材ではないのであろう。
しかし、この映画は、それをまさに逆手にとった感がある。戦車の砲弾で吹き飛ばされた肉片が飛び散り血で染まった戦車内。戦争のリアル感を出すためには、これは避けては通れない、というより、これこそがこの映画の醍醐味?になっているのだ。
その血しぶきやこびりついた肉片を新兵がバケツと雑巾で掃除させられるのだ。
さらには、この新兵を一人前の戦士にするために、ブラッド・ピットがやったことというのは・・・。

そして、たった4両だけ残ったブラッド・ピットが指揮する戦車隊に次々へと与えられる過酷な任務。
もちろん、ドイツ軍の誇る戦車タイガー1との一騎撃ちという見せ場もある。
さらには、クライマックスの十字路での壮烈な戦い。

しかし・・・。この映画は、決してアカデミー作品賞は取れないであろう。お決まりのナチス、そしてSSを極悪として描く手法はあまりにマンネリだし、最後のあるシーンでは、その救済策としてドイツ兵にも素晴らしい良心があったという演出をしているのだが、これがわたしには酷く臭ってしまうのだ。

結局、この映画が訴えているものに新鮮さが感じられなかった。
それは、「永遠の0」を見たときも同じであったが。
もちろん、エンタテイメントとしては、どちらも優れた作品で、見るだけの価値は大いにあった、とは思うのだが。


昨日、つまり2016年元旦に A river runs through it を見た。ちょうど、上のFuryを見てから一月後というわけで、しかも同じくわたしの若いころそっくりのブラピが出演している。

わたしはこの映画をとても気に入っている。モンタナの風景が実に美しく、ルアーフィッシングを基軸にした兄弟愛の描き方もとても良い。

最初、この映画を見たときには A river runs through it の意味がまったく解らなかった。しかし、ようやくこれが呑み込めるようになった。彼らにも日本人と同様に無常観があるのだ。

Furyと比べたときに、果たしてどちらのブラピが良いだろうと考えるのだが、やはり若いブラピの方が良い。彼の素がよく出ているように感じ取れるのだ。

映画自体はいわば動と静の関係だが、今のわたしにはA river...の方が好ましいし、より本物として感じられる。