陰陽・十干・十二支

2010/01/16 17:03

今年は寅年。で、この寅という字。実は虎という意味以外に人間が神に祈っている姿を表わしているそうです。云わば絵文字のようなものだそうな。わたしは絵文字自体が良く分からないので、この字をどう見ればそんな絵になるのかとんと合点がいかない。

しかし、ウ冠はそもそも宇宙や空と言う字に使われるように天を意味するから、天に対し人間が手を合わせている姿と云われればそう見えなくもない。考えてみれば、風天の寅さんは信心深い謙虚な人だったわけですね。

ところで、十二支(子丑寅卯辰巳午羊申酉戌亥)を知らない人は、当会員の中にはいらっしゃらないでしょう。みんな相当御歳を召した方ばかりでしょう・・・、いやいや失礼。

では、10干はどうでしょう。10干というのは、陰陽と木・火・土・金・水の組み合わせのことです。陰陽とはマイナスとプラスのことですが、五行(木火土金水)と組み合わせる場合には、兄(え)と弟(と)と呼びます。陽が兄で陰が弟です(これでえとの意味はお分かりになりましたね)。したがって、十干とは甲(きのえ)、乙(きのと)、丙(ひのえ)、丁(ひのと)、戊(つちのえ)、己(つちのと)、庚(かのえ)、辛(かのと)、壬(みずのえ)、癸(みずのと)になります。

今年は庚寅の年です。でも、正確に言うと、まだ庚寅にはなっていません。えとの始まりは節分からだからです。ですから、自分は羊年生まれと思っていても実は午年だったりということがあります。年が明けても2月の節分(4日)までに生まれた人は前年のえとになります。

さて、上は下拵えです。これからが本番です。会員の方の中にはすでに赤いちゃんちゃんこを着られた方もいらっしゃるのではないでしょうか。そうです。還暦を過ぎた方です。
で、この還暦についてなのですが、なぜ「還暦」かと言うと、60年で丁度十二支と五行の組み合わせが元に戻るからなのです。赤いちゃんちゃんこは再び赤ちゃんに戻ったということをアッピールするためのものです。

でも、ちょっと変だなとは思いませんか。なんで、60年なの? ほんとは120年じゃないのと疑問に思われた方。あなたは鋭い。その通りなのです。ほんとうの還暦というのは120歳でなければなりません。
わたしは、これが本当の人間の天寿と考えているのですが、実際には世界に60億を越える人間がいてもこの歳まで生きられる人は奇跡と言ってもいいほど少ない。おそらく、それで簡易的に60歳を還暦として長寿を祝ったのでしょう。いずれにしろ、十二支と十干の歯車がぴったり元の歯と歯の組み合わせに戻るには120年かかります。

ところでわたしは、運命というものに大変興味をもっていて、四柱推命などずいぶん研究しました。科学を信奉する一方で、このようなものに惹かれる、何か非常に矛盾したものを感じられるかも知れませんが、わたしの中ではそれが普通のことなのです。
言い訳のようですが、かのケプラー天文学者でありながら占星術に大変な興味を持っていたようです。また、ニュートンなどもロイヤルアカデミーの会長でありながら神秘主義者でもありました。(余談ながら、インフルエンザという言葉も実は占星術から来ています。昔の人は、インフルエンザが星の配置に影響されて流行すると考えました。ですから、星座に影響(influence)されたという意味のインフルエンザとなったのです)

四柱推命というのは、四柱すなわち生年月日時を元にその人の運勢を占うというものです。そのときに必要になるのが十二支と十干なのです。つまり、十二支と陰陽、そして五行を基に生まれた年、月、日、時刻に十二支と十干を当てはめて運命を占うのです。

これ以上は書きませんが、興味を持たれた方は是非一度研究してみてください。きっと昔の人の知恵というものの凄さに驚嘆されることと思います。わたしが科学の完全な信奉者になりきれない理由も実はここにあります。

この世には、ゲーデルの不確実原理が明らかにしたように、万能と思われた数学の力をもってしても解けないものが無数あるのです。運命というものもその一つで、予め定められたものなのかも知れません。しかし、幸か不幸か(恐らく幸なのでしょう)、わたしたちはそれを知ることはできないのですが(実はこの幸という漢字にも面白い字義があります。興味のある方は是非調べてみてください)。