モンペ

2010/04/16 17:26


週刊新潮の今週号に「バカ親」に関する一考察という特集があった。ご承知のように、この種の話は、近頃ではしょっちゅうと言っても良いほど週刊誌のネタになっている。このようなバカ親を、最近では誰が名付けたかモンペと呼ぶらしい。しかしこれでは、わたしなどは、昔の農村婦人が穿いていたあの和製ズボンを思い浮かべ何となく牧歌的な気持ちになってしまうではないか。ちなみにモンペとはモンスターペアレントの略だそうだ。あのモンペとこのモンペの落差は計り知れないほどに大きい。

しかし、上に述べたように如何に言葉の言い換えをしてみても、もはやこの種の不道徳極まりないバカ親の行為は日常チャメシゴトになってしまっているから、読む方としても、いささか食傷気味に違いない。
しかし、まあ、詰まらない漫才などを聞いているよりはよほど面白い。

いろいろと例を挙げてあるが、どれを見てもとても正常な神経の持ち主のやることとは思えない。

まず、ある保育園児の親から。
ある都内の私立保育園で見るからに重そうなオムツをはいてきた子の親に、見かねた保育士が「オムツは朝に交換してあげてくださいね」と軽く注意したところ、「忙しくてそんな時間はない」「オムツを替えて会社に遅刻してクビニなったらどうしてくれるんだ」と食ってかかられたという。しかもこの親、何の関係もない区役所にまで、クビになったら保育園が補償してくれるのか、と問い合わせたのだそうだ。

もう一例。やはり私立保育園での話。3歳児がお漏らしをしたので、汚れたパンツをビニール袋に入れて持ち帰らせると、後日、母親が「洗濯してないじゃないか」と怒鳴り込んできた、とある。

今度は北海道の公立小学校の話。子供が校門前に落ちていた石ころを道路に投げ、通りかかった車にぶつかってしまった。翌日、母親が学校に来て「子供が石を投げたのは、石を放置していた学校に責任がある」と主張した、とある。しかも、そのせいで午前中のパートを休まなければならず、パート代の一部を払うように学校側に要求した。

また別の一例。
「ストーブの上に釘を置き、熱くして雑巾で包み、クラスメートの首筋に押し付けて火傷を負わせた中一の男子生徒。とんでもないことだと叱り、その親にも「火傷した子の親に謝罪してほしい」と連絡すると、翌日、父親が校長室に殴りこんできて「うちはエアコンしかなく、息子はストーブが熱くなると知らなかった。謝る必要がない」と主張した。
驚くべきはこの後だ。なんと、この校長先生。父親の要求を呑み、全校集会で「ストーブに気をつけましょう」と話したのだという。

昔は、子を思う親の気持ちを微笑ましくも親ばかと言い、ばかを見たくば親を見ろと言ったものだが、近頃の親バカは昔の親のばかとはまるで質が違う。子を思う気持ちからというより、すべて手前勝手なエゴイズムのなせる業なのだ。

それにしても、まったく、小学生に土下座をさせられたどこかの校長といい、この校長といい、そのうちにバカをみたけりゃ校長センセーを見ればよいという諺ができるに違いない。