今日の迷言:3月16日

2015/03/16 16:09


わたしを愛するならわたしの中の狼も愛せ

この狼は自身の欠点という意味ではない。本来の諺言は「わたしを愛するならわたしの犬も愛せ」で、この犬は確かに短所、欠点という意味で使われている。

しかし、ここにいう「わたし」もまたIではない。わたしとはJ、Japanなのである。
かつて日本は狼の国、武士道の国であった。いや文武両道の国であった。
その武張った面が高じてあの戦争へと突っ走ってしまった。勝って兜の緒を締めよと諫めた東郷平八郎の言を真に理解する者はいなかったのである。

その一度の、しかしあまりに大きな過ちのために、終戦から70年、人であればほぼ寿命が尽きようとしている今においてさえなお、当時は同じ国であったはずの隣国から囂々たる非難を浴びている。

けれどもわたしは、わたし自身と同じにわが日本を愛する。この国以外にわたしの祖国はなく、この国以外にわたしが愛さねばならぬ必然性をもつ国はない。
そしてまたわたしは、わが国にとうの昔から消え失せてしまおうとしている桜花の香を愛する。それこそが文武の象徴であり、わたしの中の狼である、と考えるからだ。