アキレスとあきれたカメ

2016/09/21 09:36

かのゼノンの背理である。
カメはなんとちっとも進んではいなかった。なぜか? このカメ、動く歩道を逆走していたのだ。しかも、その速度が動く歩道と同じ。相殺してゼノンから見るとゼロ。ゼノンは、バカだなー、このカメ。これじゃー俺の意図が台なしじゃねえか、と思いながら見ていたらしい。
しかし、アキレスも呆れたことにカメを追いかけている。
これではゼノンの背理が成り立たない。そもそもカメは、絶対的(勿論、ゼノンの視点からではの意味)には動いていないのだから。

しかし、こんなことで、ゼノンの背理を解決したなどと言ったら大馬鹿者である。彼は、相対性について考えていたわけではない。また絶対性を考えていたわけでもない。

ゼノンが真に言いたかったのは、無限小についてだからである。
時と空間の極微についてだからである。
極微が0か1かという問題提起だったのである。