2012/06/03 14:24 最初は、コンピューターセキュリティーの会社とタイアップしてウィルスの脅威を宣伝することからはじめた。「進化するウィルスには、進化する免疫ソフトを」「コンピュータウィルスが生命を滅ぼす！？」「工業、学術、医療、交通……、あらゆ…

2012/06/03 14:23 潜 伏 私は、鎮男から密命を受けていた。もともと、私の大友飛行船は、その事業収入の３０％を広告から得ていた。一般企業から官庁、さらには個人のバースデーやクリスマスのメッセージなど、その商売は広範囲に及んでいた。たとえば、ある…

2012/06/03 14:22 モンスター 私は、鎮男に言われたとおり、インターネットで武藤明彦について調べた。彼こそが我々人類を絶滅の淵に追いやろうとしている姿なき敵、モンスターだったのである。明彦は、１９９Ｘ年４月２０日に生まれていた。ヒットラーと同…

2012/06/03 14:21 「そやけど、鎮男ちゃん。その死んでしもうた大学生は、なんでそんなに神さんが憎かったんやろ」「それが、わいにもよう分からんのや。さっきも言うたように、神を憎む気持ちいうんは、わいにもよう理解できる。そやけど彼は、わいなんかか…

2012/06/03 14:21 長い空白の後、私は夢の続きのように言葉をつないだ。「忘れてへんどころか、機会あるごとに思い出しては、あれはいったい何のことやったんやろと考えとったんや。それで、今こそええチャンスや。なあ、教えてぇな。敵とはいったい何のこと…

2012/06/03 14:18 私は鎮男の後に続いて家の中に入った。最初は、照明が点いておらず、暗くてよく分からなかったが、鎮男がスイッチを入れると、蛍光灯の灯りのもと魔法のように現れたのは、土間の上に所狭しと置かれたさまざまな工作機械や工具類だった。黄…

2012/06/03 14:17 鎮男は、Ｊ公園まで車で来ていた。その車というのは、着ているコート同様に年季のはいったホンダのＮ‐３６０、通称Ｎコロだった。「ちょっとエンジンとか、いろいろ改良しとるさけぇ、よう走るで」鎮男は、ドアを開けると身体を折りたたむ…

2012/06/03 14:14 今でも私の心に鮮烈に焼きついていることがある。それは、私が小学５年のある夏の日のことだった。猛烈な雷雨がトタン屋根を機銃掃射のように打ちつけはじめた。古びたトタンの隙間や茶色く錆びて開いた小さな穴からそのしぶきが霧になって…

2012/06/03 14:13 テレビを買ってやりたくとも、生活保護を受けているために買ってやることのできない鶴一という名の、その名のとおり鶴のように痩せた小柄で歳のいった父親は、どれだけ鎮男のことが可愛かったであろう、彼は、鎮男の欲しがるままに飛燕や紫…

2012/06/03 14:10 オマージュ Ｊ公園は、企業城下町と呼ばれるＹ市の高台にあり、そこからは、四季折々に装いを変える山々や、市街を縫うように流れるＨ川を一望することができる。そして、はるかかなたには城の本丸、すなわち深い峡谷に守られたラプラス本…

2012/05/25 23:30 孔子孟子老子荘子荀子列子顔子朱子孫子弟子我孫子養子男子精子種子白子女子卵子筋子鱈子遺伝子微塵子尚子美奈子清子友子悦子純子綾子光子陽子分子原子量子中性子電子中性微子中間子駄菓子菓子案山子韓非子長子末子遊子聖徳太子利子君子明太…