ミクロとマクロ

2010/02/27 12:20


昨夜、天気が悪かったせいでいつもにも増して頭の切れが鈍かった。危うく自分で掘った落とし穴に落ちてしまうところだった。

しかし、結論的に言うと、顕微鏡で見るのも望遠鏡で覗くのも結局はある一部を切り取って見ているのであって全体を満遍なく見ているわけではない。やはり、両方とも木を見て森を見ていないのである。

一本の木を精密に調べれば森全体が分かるかというと決してそんなことはない。逆に森全体を漠然と眺めただけではある一本の木の詳細なデータは得られない。何だか物理学の不確定性原理に似た状況に陥ってしまうのである。

ところで、なぜこのような題材を選んだかというと、鳩山政権への批判が主眼である。
たとえば、CO2の25%削減。これはいったい、鳩山首相はどのような了見で年初早々こんな宣言をしてしまったのだろうか。

人間の生産活動の拡大によりCO2が地球規模で増えてきていることは事実には違いない。しかし、それが地球温暖化とどうリンクし、地球の温暖化が環境と生物にどのような影響を及ぼすかは、まだ研究者の間にも統一的な見解が出ているわけではない。

さらに、いづれ近いうちに化石燃料は枯渇する。CO2が減少していくのは時間の問題なのである。せいぜい後100年で石油は底をつくだろう。天然ガスメタンハイドレードもあるにはあるがこれらは水素リッチな燃料でCO2排出の割合は低い。

それが果たして良いことなのかどうかは分からないが、もしもCO2を本気で削減したいのであれば、アマゾンなど低緯度地帯にもっと緑を増やすことである。なぜなら、化石燃料とはいえ、結局はソーラーエナジーだからである。炭素が燃えるのではなく酸素が炭化すると考えればわたしの言っている意味は容易に理解できるであろう。

鳩山総理、わたしが言いたいのは、あなたなどが何もしなくとも数十年というスパンで将来を見るとき、いやでもCO2は減っていくのである。いや、違う。あなたの失政のおかげで日本経済は沈みに沈み、いやでも25%削減は現実のものとなるであろう。だから、あなたは何もCO2削減など口に出す必要はなかったのだ。

このこと一つとっても、あなたの理想とやらの通りには世の中が動かないことはお分かりであろう。経済も天気もそして地球温暖化もすべて複雑系の、いくらスーパーコンピュータを駆使しても計算できない世界の出来事なのである。
CO2削減を徹底したせいで地球の寒冷化に拍車がかかり、夏でも暖房が必要な事態にならないとは誰も断言できないのである。

CO2削減などに割く時間と金の余裕があるのなら、なぜもっと核融合炉の基礎研究に予算をとらない。核融合炉こそが人類のエネルギー問題を解決する切り札であり、人工の太陽を輝かせることはこの日の国こそが相応しい。
たとえ、50年かかろうとこれこそが人類に恒久の平和と繁栄をもたらす礎となるのである。
 
あなたは宇宙開闢150億年などと大層雄大な、いかにも物事をマクロ的に見ているかのような言葉を吐きながら、実に狭い政治的了見しか持ち合わせていないことは、国民が等しく知るところである。年初の宣言は、あなたが個人的にフットライトを浴びたかったからに過ぎないのではないか。
あなたは他の政治家となんら変わるところはない。いや、むしろ、あなたを見ていると過去のいかなる政治家も余程ましに思えてくる。