牛のふん

2010/05/07 22:11


たしか、日本政策研究センター主任研究員の岡田幹彦さんだったかが書かれていた。日本語というのは、婉曲で丁寧で実に美しい言葉であると。そして、これほど汚い言葉の少ない言語も珍しいとも。これは、名は体を表すというのと同じように、日本人の上品さと徳の高さを物語っているといっても良いのではないだろうか。

アメリカ英語にダーティな言葉が多いのは知っていた。数が多いだけではない。そのあまりの下品さに思わず耳を塞ぎたくなるようなものさえある。

今日の産経でブルシッターという言葉を知った。・・・こうして、少しずつわたしの持ち前の上品さも失われていくのだ。
これは、正論の中に出てくる。今日は国際日本文化研究センター所長の猪木武徳氏が書かれている。
それによると、アメリプリンストン大学教授ハリー・フランクファート氏の著書 On Bullshit にこれが出てくるらしい。ブルシットとは牛の糞である。ちなみにカルピスは牛のおしっこである(これは冗談)。この言葉は、確かにアメリカ映画を見ているとしょっちゅう出てくる。中にはHollyshit なんてものまである。

ハリー氏は、この中でブルシットの概念を定義し、「嘘」と峻別してみせているのだそうだ。
では、嘘とブルシットの違いとは? ――嘘つきは何が真実かを知っており、その真実を隠す為に嘘をつくわけだが、ブルシッターというのは真実にまったく無関心な者のことを言うらしい。

嘘つきは、嘘をつくためには真実が何であるかを良く知っていなければならないが、ブルシッターは自分自身の主張を押し通すことのみに執心するために、真実が何であるかを知る必要を感じない、とある。

ここまで書けば、猪木氏が何を謂わんとしているかお分かりであろう。
その通り、普天間問題をめぐる鳩山由紀夫首相の発言について述べておられるのである。たしかに、氏ならずとも、この本を読めば以心伝心のごとく同じ連想に到るであろうと思われる。

鳩山首相は、最近Loopyと言われたばかりだが、ついに牛の糞にまで貶められてしまったようである。