茹蛙

2011/03/15 11:31

福島原発の事故は、誰の目から見ても悪化の一途を辿っている。しかし、これに対する政府の国民への報告は、小出しにしか行われていない。それも水素爆発で建屋が吹っ飛んだとか、炉心が空焚きになっているとか、現状の報告に終始していて、有りうべき最悪の事態に備えて手を打っているという姿は全く見受けられない。

危機管理の基本は、悲観的に備え、楽観的に行動する、ということである。しかし、今の東電や政府のやりかたは、これとはまったく逆である。楽観的な報告に終始しているが、現場が絶望的なムードに陥っているであろうことは容易に想像できる。

わたしは、現場の要員や必要な機材が不足しているのだと思っている。だから、2号炉に注水するべきポンプの監視を怠り炉心を空焚きにしてしまったり、定検中の4号炉で火災が起きたりするのだ。
政府は、そして東電は、今は緊急事態であるのだから、熟練した作業員や技術員を組織的に福島に投入すべきである。彼らは被爆するであろうが、覚悟をもって投入すべきである。また、東電の社員は、誇りある東京電力の一員として、自らを犠牲にする覚悟で手を挙げるべきである。戦争中の若者が、皆そうしたように。

このままでは、わたしたち国民は、安全だ、心配する必要はない、余り騒ぎ立てるな、と子供のようになだめすかされているうちに、ついには茹蛙のように茹で上がってしまうことだろう。