ある素晴らしい詩

2011/03/16 22:19


ある方の日記を読ませていただいて、夕刻の備忘録という有名なブログの中の素晴らしい詩を知った。

わたしは、これを読んで夕刻の備忘録さんが素晴らしい人であることがすぐに分かった。

その言葉は、津波で親を失った小さな子供に向けて贈られた言葉だ。夕刻の備忘録さんは、仮想の子供に語りかけているようでいて、実はわたしたち大人に覚悟を問うておられるのだ、と思う。それは、わたしたちには、小さな子供達にこの美しい日本をそのまま残していく義務があるということなのである。
今回の大震災と人災とも言うべき原子炉のディザースターによって、まさに壊滅の途上にあるかのような日本を、わたしたち大人は、わたしたちの子孫のために見事に復活させて渡さねばならないということなのである。

以下にその詩(と呼んで良いだろう)を紹介したい。

震えている幼き魂へ

被災地において今、震えている幼き魂へ贈る。
こんな駄文を読むはずもない君へ、それでも心を込めて贈る。
何時か、何時の日か、君に届くと信じて。


「独りぼっちになってしまった」と思っている君には掛ける言葉もない。
安易な励ましや、慰めは、さらに君の心を傷付けるだけだろう。

現実の過酷さは、人の想像を超える。
他人の気持ちなんて誰にも分からない。

でも苦しんでいることは分かる。辛いことだけは分かる。
分からないのは、君がそれを如何に受け止めているかだ。
だから何も言えないのだ。

今は一緒に泣こう。
涙枯れ果てるまで一緒に泣こう。

でも、それは君をさらに孤独にするだろう。
涙の河のその向こうに何があるか。
その事だけは伝えたい。伝える義務があるだろう。


未来は若者のものである。
この世界は、この日本は君達のものである。
二千七百年続いた日本を、その未来を担うのは君達だ。

日本は「名も無き英雄達」が作ってきた国だ。
君の周りにも、君の目の前にも英雄は居る。
今は分からないかもしれないが、英雄は必ず居る。

彼等が君達を支え、地域を支え、国を支えている。
金持ちも、権力者も決して英雄にはなれない国なのだ。

私利私欲ではなく、必死に他人のために生きる人達が居る。
そんな人達だけが、この国の英雄になれるのだ。
それが日本という国だ。

精一杯に勉強して欲しい。
力一杯に体を鍛えて欲しい。
遊んでいる暇はないぞ。

支える人は必ず居る。見えない所に必ず居る。
おかしな老人達は我々が追い払う。
狂ったマスコミは我々が始末する。
出来る限り綺麗な状態にして、後を君達に託す。
我々は静かに立ち去り、道を空ける。

君の作る未来が見たい。
君が作る日本が見たい。

でもそれは叶わない夢だろう。
我々は夢見ながら立ち去るのみである。


今、世界中が日本を見ている。
世界中が日本の被災にオロオロしている。
経済も混乱している。
日本がくしゃみをすれば、肺炎になる国は幾らでもある。
これこそが真実だ。
マスコミが如何に貶めようと、これが日本の実力だ。

被災者の堂々たる態度に、彼等は驚嘆している。
そして大いなる称賛の声を挙げている。

でも、こんなものじゃない。
日本の力はこんなものじゃないんだ。
それを君が示して欲しい。

自然災害にも決して挫けず、他人を思い遣り、不正を嫌う。
清潔を好み、学問を尊び、芸術を愛する。
伝統を重んじ、進取の気風に満ち、常に世界の一員として振る舞う。

これが元々の日本人の姿なのだ。
奪われ、失われた日本人の真の姿なのだ。
それを君の力で取り戻して欲しい。

君は独りじゃない。

これが君に伝えたかった全てだ。