For whom the bell tolls

2011/12/24 00:09
For whom the bell tolls

今、「誰がために鐘は鳴る」を読んでいる。言わずと知れたヘミングウェイの代表作の一つである。映画にもなって、ロベルトをゲーリー・クーパー、マリアをイングリッド・バーグマンが演じた。
スペイン内戦を描いたもので、それにロベルト・ジョーダンとマリアとの恋愛を織り交ぜながら、ストーリーは終局へと向かってゆく。
ロベルトをロマンチックフールと呼ぶとするなら、その彼に対比させるべく極めて現実的で知恵の回る悪党、すなわちゲリラの首領であるパブロを配置させるなど、非常に良くできた小説である。
ここには、ロベルトとパブロという二人の男の生き方の違いを対比させるだけではなく、強烈な光と影のように生と死が交錯しており、如何にもヘミングウェイらしい。

ところで、前にも書いたが、この小説のタイトルは、ジョン・ダンの次の詩によるものである。

for whom the bell tolls
John Donne


No man is an island,
entire of itself
every man is a piece of the continent,
a part of the main
if a clod be washed away by the sea,
Europe is the less,
as well as if a promontory were,
as well as if a manor of thy friend's
or of thine own were.
Any man's death diminishes me,
because I am involved in mankind
and therefore never send to know
for whom the bell tolls
it tolls for thee'


たがために鐘は鳴る

誰も孤島ではなく、
誰もひとりがすべてではなく。
ひとはみな大陸の土。
大地のひとかけら。
その一握りを波が洗えば、
洗われただけ大陸の大地は失われ、
さながら岬が失われ、
君の友や、君の土地が失われる。
ひとの死とてこれと同じ、
自らも欠けゆく。
なぜなら、私もまたひとの一部。
ゆえに君よ問うなかれ、
たがために鐘は鳴るやと。
そは君が為に鳴るなれば。