2019-10-23から1日間の記事一覧

文化のガラパゴス

2013/04/30 12:58 最近はもっぱら英語で書かれた本を読んでいる。読んでいて思うのは、ローレンス・ブロックやマイケル・クライトンのような作家はわが国には絶対に現れないであろう、ということである。これはもちろん、彼我の優劣について述べているわけで…

食い惜しみ

2013/04/26 10:52 ローレンス・ブロックのHit man KellerシリースのHit listを読んでいて、今佳境にさしかかったばかりである。 いやぁ、これほど面白い本だとは思わなかった。もう何年も前に一度読んだはずなのだが、本当に身を入れて読んだのだろうかと疑っ…

対称

2013/04/22 10:48 対称という言葉もまた一見シンプルである。ただ、数学的、あるいは物理学的な意味にとると、この一見シンプルな言葉も大変難しいものになる。 わたしは、ちょっとばかり尾篭というか下品な話で気が引けるのだが、男女の対称性について書い…

相2

2013/04/19 08:42 先日「相」というのを書いたばかりだが、数日前からローレンス・ブロックの Hit List というのを読んでいて、ここでも刺激的な文章に出会った。Hit Listというのは、Kellerシリーズの一つで、主人公のジョン・ケラーはヒットマン、つまり依…

2013/04/16 10:21 相という一見シンプルな漢字だが、わたしはときにこの字に底知れぬ恐ろしさを感じる。最近、For Whom The Bell Tolls を何度目か読み直してみて、改めてこれを感じた。 思うに、主人公であるロバート・ジョーダンも最初から最後まで(といっ…

オイラーの宝石

2013/04/10 10:37 わたしは、これまで拙文を読んでいただいた方なら分かるとおり、理屈をこねるタイプである。しかし一方では理屈は情に負けるといつも思っていて、人情話にはめっぽう弱い。 ところで、わたしの周りにはいつも本が散らばっていて、自慢だが…

カテゴリー認識について

2013/04/08 11:35 これは以前にも書いたことだが、たとえば信号機の青はアメリカ人にとってはblueではなくgreenである。 また、アメリカで飼われているlassieという名のコリー犬は、日本人がラッシーと呼んでも振り向きもしない(たぶん・・・)。 上の2例…

目に見えないもの

2013/04/05 11:26 いま、湯川秀樹博士の「目に見えないもの」を再読中である。すでに「旅人」は読み終えた。 昨夜、湯川氏とも関わりのあった武谷三男の「弁証法の諸問題」というのを開いてみたが、まず内容が難しすぎるのに加え、その文章自体がわたしの琴…

Renaissance man

2013/04/04 10:56 湯川秀樹博士の「旅人」を読んでいて、改めてある感慨を抱いた。 氏は、内面的にはきわめて孤独なひとであった。その幼少時の渾名はイワン、そして権兵衛。イワンは、何か言いたくないこと、意に沿わぬことがあると「言わん」というのが口…

組み合わせ

2013/03/27 13:42 ものごとは組み合わせである。これによって、うまく話が進む場合もあればだめになる場合もある。どうやら、先日はこの順番を間違えてしまったらしい。 つまり、この間、日記に上げたAha Hold me tight! と Can you ski? は、このように組み…

数学と情緒

2013/03/21 16:44 「日本語は物を詳細に述べようとすると不便だが、簡潔に言い切ろうとすると、世界でこれほどいいことばはない。簡潔ということは、水の流れるような勢いを持っているということだ。だから勢いのこもっている動詞を削ったり、活用を変えたり…

Aha hold me tight!

2013/03/15 14:17 まさに今のわたしがこの状態 と言っても、強くわたしを抱きしめて!じゃなくて、 あほーみたい!ってやつ ついでにこんなネタも仕入れたスノボーが上手な男に向かってアメリカ人の彼女、 Can you ski? と聞いてみた すると、この男 「好き…

デンマルク国の話2

2013/03/13 16:18 しかし植林の効果は単に木材の収穫に止(とど)まりません。第一にその善き感化を蒙(こうむ)りたるものはユトランドの気候でありました。樹木のなき土地は熱しやすくして冷(さ)めやすくあります。ゆえにダルガスの植林以前においてはユ…

内村鑑三 デンマルク国の話

2013/03/13 16:15 青空文庫の方々に感謝を念じつつ、これを転載させていただきます。 デンマルク国の話 信仰と樹木とをもって国を救いし話 内村鑑三 曠野(あれの)と湿潤(うるおい)なき地とは楽しみ、沙漠(さばく)は歓(よろこ)びて番紅(さふらん)の…

日本人と英語

2013/03/12 09:51 マーク・ピーターセンという人の「日本人の英語」を読んでいて、その第4章に「間違いの喜劇」単数と複数 25通りの可能性 と銘打ったのがあって、これはとても面白かった。 間違いの喜劇というのはもちろんシェークスピアの”The Comedy o…

山中鹿助

2013/03/08 13:31 願わくは、我に七難八苦を与えたまえ 昨日、内村鑑三の「後世への最大遺物」を書いていて思い出したのが、この山中鹿助(幸盛)の言葉である。 またローランズの「哲学者とオオカミ」の話をすれば、結局この本で彼が言いたかったのは、鹿助…

内村鑑三 後世への最大遺物

2013/03/07 17:18 内村鑑三の後世への最大遺物、いつかは読んでみたいと思っていたが、ついに読み終えることができた。なんのことはない、これほど値打ちのあるものが青空文庫で只で入手できるのだ。 2日にわたる長い講演の最後を内村鑑三は次のように締め…

死と哲学

2013/03/04 09:38 死は哲学とは無縁である。 死は、結局のところ生理的、心理的な問題であって哲学で取り上げるべきものではない、という気がしてきた。 エピキロスが言うように「死はまったく恐れる必要がない。死を恐れているうちはまだ死はやってきていな…

シーシュポスの真の苦難について

2013/02/28 15:17 シーシュポスの神話は人生の寓意である。これに異論を唱える人は少ないであろう。ただ、その寓意が伝えようとしていることとは何だろう。人生はまったくの無益である。あるいは途方もない無駄である、というようなことを言おうとしているの…

運命論とゼノンの背理

2013/02/27 10:22 今日は生憎の雨だが、今頃の雨にもそれなりの情緒というものがあって、それはそれでなかなかいいものだ。通勤の電車の窓から外を見ると、雨に煙った港の佇まいにも心打たれるものがある。灰色というのは、色彩を際立たせる。全体がグレイの…

どこが不自由なのか

どこが不自由なのか と思う今日この頃である。なにが? と思う方はこれ以上読む必要はない。名古屋の市長はこれに大反対だった。わたしはこの市長に賛成である。 愛知県知事はこれに賛意を唱えているようだ。何でも、表現の自由がその根拠らしい。あほか、と…