脇が甘く、詰めも甘い

2012/08/02 20:51


相撲取り(ではないが)にとって、脇が甘いのは致命的である。なぜか? 脇が甘いと相手に簡単に両差しを取られてしまうからである。

ところが、どうもわたしも脇が甘いらしいのである。若い頃からずっとそうだった。つらつら考えてみるに、わたしの胸に顔を埋めた女は五指を下らないが、いずれもわたしの胸に顔を埋めたのではなかったのである。彼女たちは、わたしの甘い脇の匂いを嗅いでうっとりとしていたに違いない、ということに気が付いたのである。

なぜ、こんなことを考えるようになったか? 実は、こうも暑い日が続くと、わたしの脇はますます甘い芳香を発散するようになり、猫がマタタビを嗅いだが如く、今やわたくし自身をも陶酔に陥らせるほどなのだ。
ああ、彼女たちは、わたしの胸に顔を埋める振りをしながら、実はわたしの脇が発散する甘い薔薇のような、いや芳しくはあるがそれよりはもう少し獣的なフェロモン臭を嗅いで陶酔に耽っていたのだな、と今更ながらに思い当たるのである。

嗚呼、あのころのわたしは青臭かった。いや、わたしの脇そのものは成熟した大人の男の、それも性的魅力溢れる男の良い匂いを発して、世の女どもを虜にしていたというのに・・・、それに気が付くのが余りに遅すぎた。

わたしは脇も甘いが、やはり詰めも甘い男なのだ、と目下反省の日々を送っているという次第なのだ。