2020-01-05から1日間の記事一覧

哲学につける薬2

2016/04/13 22:34 赤と青、どちらが黄色いか? 恋の病と馬鹿と哲学者につける薬はまだ発明されてはいない。しかし、今のところ、わたしに該当するのは二番目だけだから、発明されたとしても薬は1種類で間に合いそうだ。 上のような愚問に哲学者ならどう答え…

奔訳 白牙6

2016/04/11 12:18 犬たちの間の騒ぎは二人の注意を呼び寄せた。片耳が切なさそうな泣き声を上げながら、闇に向かって何としてでも出て行こうとするのだが棒の長さだけしか動けず、苛立ってときどき棒に歯を当てては食いちぎろうと狂ったようになっている。「…

哲学につける薬

2016/04/11 19:04 以前から思っていたことだが、哲学というのは病気である。したがって、哲学者というのはみな病人ということになる。 ただ、哲学を職業にしている者は、一概に病人とは言えないかもしれない。なぜなら、それは生活をするための単に手段なの…

奔訳 白牙5

2016/04/08 22:19 陰鬱な朝飯が終わり、残った四頭の犬たちにはハーネスが装着され橇に繋がれた。この日もまた昨日、一昨日と同じ繰り返しである。二人の男はただ黙して凍てついた雪面のかなたを見つめながら橇を進める。だが、その静寂も彼らを追い詰めるも…

奔訳 白牙4

2016/03/24 21:06 第二章 雌狼 朝飯がすみ、わずかなキャンプ用品が橇に括り付けられると、男たちは暖かな焚火を背に暗闇の中へと向かった。途端に、強烈な心を掻き毟るような叫びが上がった――それは、凍てつく闇を貫き互いを呼び合うものであった。会話は途…

The Burglar Who Thought He Was Bogart

2016/04/07 14:22 というタイトルのローレンスブロックの小説がある。これはどのジャンルに属するのだろう。敢えて言えばPIとでもなりそうだが、主人公のバーニーローデンバールは私立探偵とはおよそ真逆な泥棒家業をしている。表向きの商売は書店の経営者で…

荒城の月に想う

2016/04/04 13:47 小学生の頃、わたしは音楽の時間が苦痛だった。幸い、窓の外に池があったので、針金で釣り針を作り、どこかから調達してきた2,3メートルばかりの細身の竹を竿に鯉を吊ることに興じた。餌は給食のパンである。鯉はよく食いつきはしたものの…

玉手箱の意味について

2016/03/31 09:48 これについては以前にも記したことがあるのだが、浦島太郎の玉手箱にしても、パンドラの箱にしても、あるいは鶴の恩返しの話にしても、なぜこうも昔話というのは人間の本性に反した、というよりも意図的に反することを書きたがるのだろう。…

To the Cuckoo

2016/03/26 11:10 To the Cuckoo O blithe New-comer! I have heard, I hear thee and rejoice. O Cuckoo! shall I call thee Bird, Or but a wandering Voice? While I am lying on the grass Thy twofold shout I hear; From hill to hill it seems to pas…

薔薇色の放屁

2016/03/25 06:41 厚顔の美少年だったころ、太宰治をよく読んだ。太宰は井伏鱒二に師事していたから、何かの短編の中に井伏氏が登場し、「・・・氏が突然放屁された。実につまらなそうであった」というようなことの書かれた行に出くわした。そうか、井伏鱒二…

奔訳 白牙3

2016/03/21 22:05 男たちは互いに身を庇いあうように二人並んで眠りにつき、すさまじい寝息をたてはじめた。焚火は消え、それとともにキャンプを取り囲んでいた光り輝く眼の輪が狭まってきた。犬たちは恐怖から互いに固まりあい、対になった眼が近づいてくる…

奔訳 白牙2

2016/02/10 20:44 一時間ほどが過ぎ、そして二時間が過ぎた。ただでさえ短い日の名残りが薄青となって消えゆくころ、静寂を突くように微かな遠い叫び声が上がった。その叫びは、一気に空高くへと駆け上がると、高音のまま小刻みに、神経質に震え、それからゆ…

シジュウカラからの伝言

2016/03/18 09:32 最近の研究によると、シジュウカラ(japanese tit)は二つ以上の単語を組み合わせてより複雑なコミュニケーションができるらしい。たとえば、「こっちにおいで」という意味の鳴き声と「敵がいないか調べてみて」を組み合わせると「こっちに…