太陽は身を窶している

2010/06/25 22:54


太陽は、天然の核融合炉である。質量→エネルギーの変換装置である。

太陽は、わたしたちに惜しみなく愛を与え続ける為に日々身を細らせていることになる。なぜなら、エネルギーと質量には等価原理というものがあるからである。有名なE=mc^2である。

いったいどれだけ身を細らせているかを計算してみよう。

先に地球に注がれる太陽エネルギーは全体の21億分の1であると計算した。
また、太陽定数が1・366kW/㎡であることも述べた。
すると、この太陽定数に地球の投影面積を乗ずれば、地球に注がれるエネルギーが算出される。さらにこれを21億倍すれば、太陽の発散するエネルギーが求められる。

これを計算してみよう。

地球の投影面積をSとすると、地球の半径はおよそ6350kmなので、
S≒π(6350)^2≒126612650×10^6㎡

太陽定数をCとし、地球に注がれる太陽エネルギーをEeとすると、

Ee=CS=1.366×10^3×126612650×10^6=172952880×10^9

太陽の発散するエネルギーEsは、

Es≒21×10^8×Ee=21×10^8×172952880×10^9
=3632010480×10^17

光の速度cを3×10^8m/sec とすると、c^2=9×10^16となるので、
太陽が1秒間に痩せ細る質量mは、

m=Es/c^2=3632010480×10^17/9×10^16=4035567200kg/secとなる。つまり、一秒ごとに約4,000,000tづつ痩せていることになる。

では、一日あたりではいくら痩せるのか。一日を86400秒とすると、
一日に、400万トン×86400=3456億トン、 一年間では、3456×365≒126兆トンの質量が減損していることになる。

この質量の減損によってどのようなことが起こり得るか。重力が弱くなり、したがって、地球への求心力が減少する。地球は少しずつ太陽から離れていくことになる。このことは、はるか昔から起こっていたはずなので、太古の地球は、もっと太陽に近く、したがって灼熱状態であったかも知れない。そして、逆にはるか未来には氷に閉ざされてしまう? いや、太陽は赤色巨星化すると考えられるから、そうすると、逆にやはり灼熱化する公算のほうが高いかも知れない。

いずれにしろ、人間が太陽の惜しみない愛を受けていられる期間は決して永遠ではないのである。