2013/06/28 12:58
いま、マイケル・クライトンのコンゴを読んでいる。オオカミに続くゴリラシリーズになるかどうか。
それにしても、である。これはとってもよくできている。さすがはマイケル。マッ、イケルである。
まだ三分の一ほどしか進んでいないのだが、それでもこの作品を傑作だと感じるのは、以前にも述べたが、エンターテインメント成功の二つの条件、復讐と宝探しの要素が含まれているし、それになにより素材がいい。つまりゴリラのMayが素晴らしくチャーミングなのである。
少しばかり内容に触れると、ある地球探索会社がコンゴ(ザイール)で現地調査を行っている。この会社はもちろん、衛星を使ったハイテク装置でも金鉱やダイヤモンドなどの探索もしているのだが、それだけでは不十分なので、現地に人を送って詳細な調査を行っているのである。
その現地で大変な事件が起きる。社員や現地のアシスタントたちがゴリラらしきものに襲われ惨殺されてしまうのだ。
そこで、数学の天才であるカレン・ロスというこの会社のエクゼクティブと動物学者のエリオットが現地に向かうことになる。このエリオットが連れていくのがゴリラのMayというわけなのである。
さて、それではどこが宝探しなのか。カレン・ロスには、まだ今のところはっきりとは見えてこないが、別の動機がある。
おそらく、彼女はダイヤモンドが目当てなのだ。実は、このことには伏線が張られている。アフリカがかつて黒い大陸と呼ばれていた頃、この地には都市があって、何人もの探検家の文献がそれを示している、ということが書かれているのだ。
そして、である。この廃墟となった都市に特徴的な建物の半月形をした窓の絵を、絵を描くことを教えられたMayがしきりに書くのである。その絵はどうやら、彼女が見る夢を描いたものらしく、おそらく彼女が幼かったころに母親が密猟者に殺され彼女自身も捕まってしまった、その辺りに遺跡が存在することを示している、ということのようだ。
では、復讐の要素はどこにあるか。それは、現地で調査隊が全滅させられた、しかしそれはおそらくゴリラなどによってではない。何か調査をめぐっての陰謀によるものである。さて、カレン・ロスらはどのようにこの謎を解き、犯罪者を処罰するか。もうすでに臭ってきている。
クライトンの描く世界は、様々なテクニカル・タームに溢れている。まるで色とりどりのカクテルが並べられているかのようだ。
しかも、その素材が実にいいのだ。堕胎、恐竜、病原菌、多元宇宙、等々、魅力に溢れ、しかもそれらの素材を十分に活かしきれるほどの理論の裏打ちができているのだ。