一般相対性理論2

2010/03/08 23:05

一般相対性理論の続きだが、この理論は単に重力場によって空間が曲がるということだけではなく、ブラックホールの存在やシュバルトシルト限界、宇宙の膨張、さらにはビッグバーンまで預言するものとなった。

ところで、そのアインシュタイン方程式とは以下のものである。

Gμv+Λgμv=κTμv

ここで、κ=8πG/c4

わたしなどは、良く理解できないまでも、これを見て背中がぞくぞくっとするほど美しいと思うのだが、どうだろう。

この式を見て、一瞬にしてこれが理解でき宇宙の構造が分かったという人がいれば、天才などというものではない、この地上でもっとも神に近い人であろう。

これを編み出したアインシュタイン自身でさえこの式の意味を完全には理解できなかったという。
式中のΛを含む項は宇宙項と呼ばれるが、アインシュタイン一般相対性理論を発表した当初はΛがなかった。なぜ、その後Λを付けたかというと、この宇宙定数と呼ばれるものがないと、宇宙は引力よりも斥力の方が強くなり膨張してしまうことに気が付いたからである。
しかし、その後に宇宙の最果ての星が放つ光の赤方偏移という現象から実際に宇宙が膨張していることが分かると、「生涯で最大の過ちであった」と嘆いたという。さしものアインシュタインもまさか宇宙が膨らんでいっているとは思いもよらなかったらしい。

ところで、この難解な式はミンコフスキーら数学者の協力がなければ完成しなかったと述べた。その数学とはリーマン幾何学のことであり、わたしたちの目に慣れたユークリッド幾何学とはかなり趣を異にするものである。
ユークリッド幾何学が平面を記述するのに比べ、非ユークリッド幾何学は曲面を記述するものである。
平行線をユークリッド幾何学の公理を使って述べるなら、ある任意の線とこれから離れた点を通る平行線は一本だけである、となる。しかし、非ユークリッド幾何学では、そのような線は無限に引かれるか、あるいは0である。

これは、逆にビッグバーンから考えてみれば理解しやすい。つまり、宇宙は原初においてただの質点であった。それが何らかの理由により爆発膨張し現在もこれが続いている。すると、最初の質点から見て、そこからは宇宙の果てに向って無限の線が出ていると考えることができる。この線は光であってもあるいは重力線(空間の曲がり)であってもよい。
このように考えると、全ての線は原初のただ一点に集まるわけであるから、平行線の数は0ということになる。

ところで、宇宙はその爆発膨張の過程において、本来であれば消滅するはずであった。なぜなら、理論的には出来立ての宇宙には物質の他に反物質が同じ量だけあり、この二つが出会った瞬間に質量は消滅しすべてがエネルギー(光)に変ってしまう筈だからである。しかし、実際にはそうはならなかった。これがCP対象性の破れと言われるものである。益山教授は、これを裏付けるクォークについての理論を打ちたてノーベル賞を受けている。

いずれにしろ、この宇宙が存在したかしなかったかも、引いてはわたしたちが存在したかしなかったかもビッグバーンのほとんどその瞬間から決まっていたといえよう。

それはともかく、宇宙が膨張しているといっても、それは決して均一の密度を保ちながら膨張しているわけではなくて、その中には密度の濃い星やガスの塊である星雲が散らばっており、さらにはその星雲の中にもブラックホール白色矮星中性子星、パルサーなどといった途方もなく密度の高い部分がある。これらの周辺では、空間は極度に曲がっている。

これは玉葱を入れるネットのようなものを想像してみれば良い。そのネットを平面上に広げ四隅をピンと張る。その真ん中に玉葱でもゴルフのボールでもよい、何か重みのある球体を置くとネットは真ん中が漏斗状にくぼむ。このくぼみこそが重力による空間の曲がりなのである。ブラックホールなどでは、この窪みが錐で穴を開けたように急峻で光さえもここに落ちると抜け出すことができない。この光が抜け出せるかどうかの境(球の表面)を事象の地平面、あるいはシュバルトシルト限界というのである。

さぁ、ここまで書いてきて気が付いたが、話が非常に拡散してしまって締りのないものになってきている。これは別に膨張する宇宙に合わせたわけではない。どこかでうまく収束させねばと思う。とりあえず、今日はここまで。