一般相対性理論4

2010/03/13 17:27

昨夜は、スローガラスについて書いた。スローガラスとは、光の速度が遅くなる物質のことである。しかし、これは何もSFだけに用いられる特別な仮想の物質ではない。例えば水。水の中では、光の速度は約75%になる。また、普通のガラスの中でも同様に遅くなる。遅くはなるが、また出て行くときには光速度に戻る。

これは理解するには、光が電磁波の一種であり、電磁波とはその名の通り、電気と磁気が相互作用しながら空間を伝播していくものであるという予備知識が必要である。すなわち、電気により磁気が生じ、磁気により電気が生じるのである。

電気には電位(電圧)があり、磁気には磁位(磁場の強さ)がある。
ここに二つの粒子q1、q2があり、それぞれ+と-に帯電していたとする(この単位をクーロンという)。するとこの二つの粒子には電気的な引力が働く。この引力を簡単に電位Eとする。磁気の場合も同様にN極とS極の間の引き合う力を磁位Hとする。
すると、E=q1・q2/4πεr^2となる。また、N極とS極との間の磁気の流れ(磁束)の密度をBとすると、H=B/μとなる。ここに、ε:真空中の誘電率、μ:真空中の透磁率

また、μとεとの関係であるが、c^2=1/μ・εとなる。これを書き直すと、
c=√1/(μ・ε)である。ここで、c:真空中の光速度

また、任意の物質中での光速度vは、v=√1/(μ・μx)・(ε・εx)となる。ここに、εx:比誘電率。μx:比透磁率

随分と数式の多い文章になってしまったが、要は、光の速度は物質の持つ誘電率、及び透磁率によって変化するということを言いたいのである。

特にガラスや水のような磁性の極めて小さいものでは、その誘電率εが光速度に影響を与える。また、この誘電率の影響により屈折が生じるのである。因みに水の比誘電率はおよそ80である(直流電圧――周波数0の場合)。この大きな数字の故に食塩などは水の中では塩素clとNaに電離するのである(E=q1・q2/4πεεx・r^2)。ここに、εx:比誘電率

ここで、?と思った方は数学的、物理的センスの鋭い人と思って間違いないだろう。なぜなら、わたしは冒頭に水の中では光の速度はおよそ75%になると記したからである。
(水の誘電率が80なら、水中での光の速度は1/80、すなわち1.25%になってしまうではないかという疑問をもたれた方には敬意を表したい)

しかしこの疑問については、誘電率が電磁波、つまり光の周波数に大きく影響されるものであるということをご理解いただければ氷解すると思う。
なお、光速度cと媒質中での光速度vとの関係を屈折率といい、通常nの記号が用いられる。
すなわち、n=c/vである。

本日はここまで。さて、この日記いったいいつまでかかることやら。