相対性理論5

2010/03/14 18:44

昨日述べたように、空気中から水、あるいはガラスなど透明なものに光が斜めに入るとき、その速度が遅くなることによって屈折が生じる。光の速度が遅くなる理由については誘電率εの違いによるものであることを式にしめした。

しかし、なぜ斜めに光が入射したときのみ屈折が起こるのだろう。その理由は、光を線ではなく、ある太さを持った棒のようなものとして考えてみると良く分かる。

つまり、水中に棒を斜めに入れて引き抜くと、棒には斜めに水の跡が残る。棒を真っ直ぐに立ててみると、棒のどちらの側が先に水に入ったかが分かる。光も同様に進行方向と垂直な断面(円形)をもっていると考えると、先に水に入った側と僅かに送れて水に入る側があることになる。先に入った側はブレーキが掛かって遅くなるので、後から入る側は前につんのめったような形になる。この結果、光は入射角を延長した線よりも手前に屈折することになるのである。

この屈折率は、入射した光の速度(空気中では真空中と同じとする)cと媒質中での速度vとの比、c/vとなるのである。この辺の理屈はピタゴラスの定理を知っていれば比較的容易に理解が可能である。

さて、そもそもなぜわたしがこのような光学的な話に飛んだかというと、光の屈折というものが媒質の誘電率εによって決まるということを述べたかったからである。
近視の眼鏡はそのレンズが凹型である。また、シニアグラスと言われる老眼鏡は凸型をしている。しかし、光の屈折率そのものは同じ材質であれば全く同じはずである。
要は、レンズに対しての光の入り方、つまり入射角を斜めにするためにあのような形をしているに過ぎない。したがって理論的にはレンズは厚みを持たなくともレンズの役割を果たせるのである。それを実用化したものが薄いプラスチックの板に渦が一杯入ったフレネルレンズと言われるものである。

さて以上は、相対性理論とは関係のない話である。光の速度が媒質によって変化するということと、その速度の変化により屈折するという興味深い事実について述べてみた。