金木犀

2010/10/08 10:23


過ごしやすい良い季節になってきた。どこを歩いていても、金木犀の香りが感じられる。天上から降りてきたような匂い、とその源の分からなかった子供のころのわたしは思った。
源を知ってからは、その芳しさゆえに、あの小さくて地味な黄色いたくさんの花を咲かせる木が好きになった。

金木犀は、とても上品な美しい言葉を話す女性のように思える。
思うに、植物というのは動物とはまるっきり違う感情表現をしているのだ。というよりも、表現そのものが感情であると言っても良い。金木犀もこの時期になると、夏に蝉が一斉に鳴きだすように、どの木も一斉に星のようなたくさんの花を咲かせ、他の動物や昆虫はどのように受け止めているかは知る由もないが、人を魅了する爽やかな匂いを発する。

百合は百合の、薔薇は薔薇の、蘭は蘭の、それぞれ独特の香華を発し人を魅了させる。

わたしの言葉も、何らかの香りを発するものでありたいと願う。