TED Talks より 一皮むけばみな同じ

 

 

2015/05/31 21:45 

 

 

 

「動物の王国に声を与える写真」というのを視聴した。

 

わずか5分ばかりのスピーチであるが非常に感慨深いものであった。

 

 

 

フランス・ランティング氏は動物写真家である。その彼がバンクーバーからほど近いある島で自らをクイックワースータヌーク族と名乗る部族の長老に会い、とても興味深い彼らの言い伝えを聞いた。

 

 

 

「昔なぁ、動物たちは皆、しばしば森の奥深くにある聖なる洞窟に集まってなぁ、自分たちはすがたかたちは違っても中身はみんな同じなんじゃということを寿ぐためになぁ、鴉は羽を、熊は毛皮を、鮭は鱗を脱いで踊り明かしたんじゃ。ところがなぁ、あるとき人間がそこにやってきて、裸で躍っている彼らを指差して笑ったんじゃ。そんで、動物たちはみんな恥ずかしゅうなってしもうて一斉に逃げ出してしもうたんじゃ。それからというもの、誰もこの洞窟には集まろうとはせんようになってしもうた」

 

 

 

ジミー・スミスという長老のこの言葉にランティング氏は深く心を打たれた。

 

 

 

TED Talks で彼は、自らの写真を次々に映像として映し出しながら言葉をつないでいく。

 

 

 

「わたしは、それが象であろうとカエルであろうと、その外皮ではなく中身を、自分自身もその表皮を脱いで理解したいのだ」

 

 

 

「人間は撮らないのか、という人もいるが、わたしの映した写真のすべてに人間自身が映っているのだ」とも言っている。「それがたとえライオンやカメやクーガーに見えたとしてもだ」と。

 

そして、「この地球に起こっている異変――それは図らずもわたしたち人間が引き起こしてしまったものである――多くの種の絶滅の危機に、わたしたちは対処していかねばならない。それは、聖なる洞窟でわたしたち人間が起こしてしまったことを変えることになるのだ」

 

 

 

静かな語り口ではあるが、心の琴線を揺らす素晴らしいスピーチであった。