2019-10-11から1日間の記事一覧

描を猫く

2012/05/20 14:47 猫という字は、長らくながめていると本当に猫の姿に見えてくるから不思議だ。ふうてんの寅さんの寅の字は、これは人が天に向かって厳かな祈りを捧げている姿を表しているのだという。総入れ歯、いやそう言われてみれば、たしかに黄八丈のど…

ひとさしゆびとクンデラ

2012/05/11 22:51 ミラン・クンデラの「存在の耐えられない軽さ」の中にとても気になる箇所を見つけた。それがタイトルの指に関することなのである。それは、第?部 理解されなかったことば 4 の中に次のような文章で出てくる。 サビナは同国人の協会を訪問…

植物の力

2012/05/09 19:41 この世は動物と植物がうまく共存共栄するようできている。粘菌界というものも存在するが、大抵の生き物は動物界か植物界に分類される。では、動物と植物との違いとは何だろう。読んで字の如しというか、動物は自ら動く生き物であるのに対し…

選択日和

2012/05/08 14:53 今日がとても良い天気で洗濯物を干すのに良い、というわけでこれを書こうと思ったわけではない(ちなみに英語で Lovely weather for ducks というと生憎の大雨、という意味だそうです)。 最近、また必然性と偶然性ということを考える機会…

DNA鑑定キット

2012/04/24 20:47 ・DNA鑑定キットに製造段階でDNA混入か ・去年、全国の警察に導入されたアメリカ製のDNA鑑定キットに、製造段階で工場の従業員のDNAが混入した可能性があることがわかった。 ・警察庁によると、DNAが混入した可能性があるの…

無言の言

2012/04/21 11:49 無用の用、無知の知、そして無言の言。いずれも言語矛盾のような言葉である。 このうち、無言の言とは、真理を極めた者はもはや言葉を必要としない、あるいは、真理は言葉などでは表せないから、真理を訊ねられても無言にならざるを得ない…

廻首五十有余年

2012/04/20 12:38 廻首五十有余年 是非得失一夢中 山房五月黄梅雨 半夜蕭々灑虚窓 これは、ハピコメにも使っている良寛さんの作である。 わたしも廻首すれば、早や五十有余年。思えば随分と遠くまで来てしまったものだ。 それにつけても、ついこの間、思いも…

保守について

2012/04/17 12:56 もうずいぶんと前の話になるが、保守について書いていて「一口に保守といっても、それは着るもののことであったり、あるいは食べ物のことであったりで、政治的信条とは限らない」と述べた。 しかし、亡くなったマイケル・クライトンの「エ…

シカト

2012/04/15 18:19 この虫の大量発生は、およそ30年くらい前からだろうか。しかし、おそらくこのムシが今日のように大量発生する下地はもっともっと以前から出来上がっていたのであろう。この虫はシカトとも言うし、ただムシということもある。 ムシは人間…

無為自然について

2012/04/14 20:54 老子、荘氏について書かれたものを読んでいて、なぜシナという国にはこのような思想が生まれるのだろうと考えた。シナ(もちろん、この時代にこのような国名の国は存在しなかった)には、孔子も孟子も墨子も列氏も荀子も存在した。何故諸子…

てんかんは差別か?2

2012/04/14 11:14 また起きてしまった。癲癇を持病に持つドライバーによる大事故。今回の祇園での事故を癲癇の発作によるものではない、との一部報道もあったりするが、わたしにはその方がよほど酷い報じ方のように思われる。癲癇の発作によるものでなければ…

わたぬき

2012/04/01 21:25 エープリルフールとも言われる本日四月朔日 、所用あって丸の内まで出かけた。時間があったので散策を試みた。昨日の荒天とは打って変わった好天で、やや風があり肌寒くはあったものの、実に気分は爽快であった。 それにしても、首都東京の…

大和比

2012/03/29 22:05 何年か前に新入社員の研修で講師役を仰せつかった。何十人かの新社会人を前に一枚のA4サイズの紙を手にしたわたしは、「みなさん。この紙のサイズはなんですか?」とまず質問をしてみた。大方の者は紙のサイズを知っていて、元気良く「A4で…

車窓より

2012/03/28 12:36 日一日と春らしくなってゆくのが車窓からの風景でよく分かる。 今朝、通勤電車から眺めると、遠くがぼんやりと薄紫に霞んで、スカイツリーの裳裾も霞んで幻想的な妖しい雰囲気を漂わせていた。 一昨日、月曜の朝には富士がくっきりと見えた…

雨月物語を読む

2012/03/25 20:33 大枚7百何十円也をはたいて上田秋成著雨月物語を購ったが、なんということはない、後でネットで調べ、自炊(自吸い)なるものによってすでに全文がロハで手に入ることを知った。 考えてみれば、上田秋成は享保19年6月25日(1734年7月25日)…

谷神不死

2012/03/24 18:50 谷神不死。是謂玄牝。玄牝之門、是謂天地根。緜緜若存、用之不勤。谷神(こくしん)は死せず。これを玄牝(げんぴん)と謂(い)う。玄牝の門、これを天地の根(こん)と謂う。緜緜(めんめん)として存(そん)する若(ごと)く、これを用いて勤(つ)かれ…

Geek

2012/03/21 20:24 エドガーアランポーの作品にタール博士とフェザー教授の療法というのがある。タール(コールタールのタール)とフェザー(羽)という奇妙な名前からも分かるように、これはコミカルな短編小説である。しかし、コミカルではあるが読みように…

1と2

2012/03/11 18:14 コギト・エルゴ・スムという呪文のような言葉は、長く人類の脳に焼き付いてきた。「我思う、故に我あり」と訳されるこの言葉はまた、長らくわたしも悩ましてきた。悩ましてきた、というほど大仰なことではないが、ほんとかな? という疑問…

1と10

2012/03/05 22:01 面白い小説、あるいは面白い映画でも良い・・・、というのは、結局は情報が豊富な作品のことである。情報の質、量ともに優れたものが面白い――おそらく、わたしのこの指摘に大きな間違いはないであろう。情報の質とは、第一に新鮮であること…

北と南

2012/03/04 19:10 北と南と言っても、朝鮮半島情勢の話ではない。いやしかし、この話は朝鮮半島ともまったく無縁ではないかも知れない。 西郷の貌を読みながら思ったのは、日本の国体が完成したと言われる明治維新、そして幕末について、余りにも知らないこ…

西郷の貌

2012/02/27 12:24 タイトルの本を買って読み始めた。これは、歴史ミステリーである。つまり、小説であるのだが、ただの小説と思わせない思わせぶり(というと失礼だが)が顕著に見てとれる。 著者の加治将一氏というのは、他にも「あやつられた竜馬」、「幕…

10と11

2012/02/15 12:19 意味不明のタイトルにはそれなりの意味がある。 以前に佐伯啓思氏の反・幸福論についての拙文をものした。そのなかで、日本国憲法にも高らかに謳われている第13条の幸福追求権というのは、つまるところは金儲け推奨の条文ではないか、と…

天罰について

2012/01/31 22:10 反・幸福論を読んで改めて意を強くしたのは、現代人の幸福とはなんと薄っぺらなものであろうか、ということであった。いや、幸福を追求するなどということがそもそも卑しく浅ましいものなのではないか、と思うのである。 佐伯氏も述べてお…

佐伯啓思氏の「反・幸福論」を読む

2012/01/31 17:04 日曜にこの本を買って、本日電車の中で読み終えた。佐伯氏については、産経新聞のコラム欄に書いておられるのを時折読ませてもらって、そのたびに共感を覚えるというか、わたしの弛んでささくれ立った心の琴線とやらに触れるものを感じてい…

連合艦隊司令長官 山本五十六

2012/01/04 08:14 先日、役所広司さん演ずる山元五十六の映画を見た。これは思っていた以上に良かった。何が良かったかというと、やはり役所公司さんが光っていた。実に様になっていた。 かつて、三船敏郎がトラトラトラだったと記憶するが、同じく山本長官…