2019-10-18から1日間の記事一覧

Jack Daws 3

2013/02/01 11:54 任務は非常に危険なものだった。6人の男と3人の女がフリックと一緒に訓練課程を終えたが、二年後の今も現役で任務についているのはフリック一人だけである。二人は死亡が確認された――うち一人はミリス?憎悪すべきフランス官憲に撃たれた…

Jack Daws 2

2013/02/01 11:51 初日 日曜 5月28日 1944年 第一章 爆発の一分前、セント・セシール広場は何事もなく平和にたたずんでいた。気持ちのよい夕方で、しんとした空気が町を毛布のように包み込んでいる。教会の鐘が礼拝の者たちにさあ祈りを唱えよと重苦…

化天は夢か

2013/01/18 11:38 Oは、たびたび見る夢に悩まされていた。それは死んでは生まれ変わるという奇妙な夢だった。 かの孟子は、あるとき蝶になった夢を見た。そして、その夢から覚めたとき、蝶が自分になった夢を見ているのではないかと思ったという。 Oの見る夢…

レ・ミゼラブル

2013/01/15 16:35 小学校の2,3年ころだったか、紙芝居でジャン・バルジャンの話を知った。それ以来、この悲惨な物語を忘れたことはなかった。世の無情を知る最初の経験だったかも知れない。 その不朽の物語が映画化され、しかもミュージカルという形になって…

Child44

2013/01/09 13:20 この本を読むのはこれで二度目になる。それにしても、である。この著書の作者はわずか27歳でこれを書いた。そして一躍世界的に有名な作家になった。 敢えてジャンル分けをするなら、この本はミステリーということになるのであろうが、単…

荒野のおおかみ

2013/01/02 12:23 The philosopher and The wolf を読み、大いに感銘を受け、そして昨日元旦、紀伊国屋書店で「荒野のおおかみ」を購った。 これは、わたしにとっては当然の帰結であった。おそらく、若かりし頃に一度は手にしたはずのヘルマン・ヘッセの有名…

再び鐘について

2012/12/29 18:26 昨年の暮れだっただろうか、二つの映画作品について、ここに日記を書いた。いずれも鐘の音が印象的な作品で、いずれもわたしに似てハンサムなゲーリークーパーが主演している。 さて、その作品とは「誰がために鐘は鳴る」と「真昼の決闘」…

パンツとソックスの社会的地位について

2012/12/18 11:23 もう一月ほど前になろうか。風邪を引いて年齢をも省みず激しい運動をした結果、腰を痛めたことがあった。風邪を引くと風邪のウィルスとやらが肉体の弱いところに集中攻撃をかけてくることは経験上分かっていた。わたしの場合、たいていそれ…

ローランズについての考察3

2012/11/15 11:42 英語圏においては、たとえばシェークスピアのハムレットを読んで「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」という言い回しがこんなに昔から使われていた、ということに驚く人が少なくないという。つまり、出典がシェークスピアであること…

狼について考える

2012/11/14 12:48 先にローランズは、ブレニンと走っているときにまずそのフィジカル面での狼の美しさに魅了された、と書いた。ブレニンの走りは、まったく犬とは違った上下の動揺のない、滑るような、宙に浮いたまま滑っているような美しいものであるのに対…

ローランズについての考察2

2012/11/13 13:30 英文を打つことには慣れているつもりだったが、つい夢中になってこのブログが4000字以内に収めなきゃならないことを忘れてしまっていた。それで、せっかく打ったものがあえなく消去されるという羽目に。これはわが猫にプリンピキアをだめに…

マーク・ローランズについて考える

2012/11/13 10:58 4 If the meaning of life is not happiness and it is not purpose, then what is it? Indeed ,what sort of thing could it possibly be? In connection with philosophical problems, Wittgenstein used to speak of the decisive movem…

哲学者と狼

2012/11/06 11:13 2年ぶりにThe philosopher and The Wolf(哲学者と狼)という本をひっぱり出してきて読んでいる。 そして今回、面白い発見をした。2年前に読んだときには気が付かなかったのだが、マーク・ローランズもあのミラン・クンデラのファンであった…

jack daws

2012/11/03 01:43 Ken FollettのJack Dawsという作品を読み終えた。と言っても、これで3回目の読了である。 これは本当にエンターテイメントとして最高の傑作である。同じ第二次世界大戦を扱ったジャック・ヒギンズの鷲は舞い降りたを凌駕する面白さと言って…

宝探しと復讐

2012/10/30 18:37 30歳くらいのころだったか、SF作家の光瀬龍の話を聞いたことがある。その話を聞きながら、ああなるへそと思ったことがあった。だから、20年以上たった今もその内容をよく憶えている。 「面白い小説というのは、結局は宝探しと復讐に尽きる…

マーロウかく語りき

2012/10/18 12:01 askynekoさんの日誌に我が物顔で書きかけていた駄文の続きです。 まだわたしが若かりし頃の、ある人肌の恋しい今時分の季節のことであります。もう記憶がディテールにまで及ばないくらいに薄れてきておりますが、例によって、おそらくわた…

結果がそれほど重要か

2012/09/14 03:41 昔、ある上司がわたしたちと会食中にこんなことを言った。「・・・結果が大事なんだよ・・・、結果さえ良ければ、過程なんかどうだっていいんだ」ディテールはともかく概ねこのような趣旨の発言であった。わたしは強い違和を覚えた。もちろ…

脇が甘く、詰めも甘い

2012/08/02 20:51 相撲取り(ではないが)にとって、脇が甘いのは致命的である。なぜか? 脇が甘いと相手に簡単に両差しを取られてしまうからである。 ところが、どうもわたしも脇が甘いらしいのである。若い頃からずっとそうだった。つらつら考えてみるに、…

イジメについての考察

2012/07/17 22:48 鶏のペッキングオーダーについて考えていて、こういう結論に至った。オーダーというのは序列というほどの意味だが、実際には人を背の高い順に一列に並べたようなはっきりした序列があるわけではない。尤も、仲間達からいつも突付かれてばか…

華麗なるkiyoppy

2012/07/02 23:58 温泉を掘り当てるがごとく、あるいは処女の泉を探し出すが如く、ついに、遂にわたしは源泉を発見したのである。 もちろん源泉徴収のことなどではない。そんなものは去年の暮れにわずかばかりの還付金をもらって終わっている。 なにを隠そう…

食う、読む、寝る

2012/06/18 22:03 ものを食うとき、まず、旨いものから先に食う。これがわたしの流儀だ。これがわたしの流儀だが、わたしはこれをバカの証拠であると考えていた時期があった。その考えを変えたのは、こんな風な考え方に出会ったからである。つまり、aからhの…

時計

2012/06/17 13:37 幼稚園のころ、いたずらにクレヨンで時計の絵を書いた。時計というものがとても魅力的な機械に見えたからだ。もう半世紀も前の絵なのに、その絵のことは今でも鮮明に思い出すことができる。 大きな柱時計よりも腕時計の方が高価だと聞いて…

猫と薔薇

2012/06/13 22:05 猫と薔薇には共通点がある。それは、どちらもわたしが好きなものだという点である。しかも、薔薇には棘があり、猫には鋭い爪がある。どちらもうっかりするとわが身を傷つけかねない。 薔薇が好きだからといって強く抱きしめるわけにはいか…

再び思いやりについて

2012/06/10 21:20 なげやりの得意なわたしがおもいやりがないせいで軽い槍しか投げさせてもらえなかった、というなげやりで少々自嘲気味の日記を書いた。行間にも恐らく滲み出ているであろうとおり、わたしはこの手の言葉が嫌いである。思いやりもそうだが、…

カミヤ

2012/06/09 17:24 明治時代。日本に滞在したアメリカやイギリスの高官たちはフォックステリヤとかセッターとかダックスフンドシとかいった犬たちを単なるペットとしてか、それとも猟に使うためかは知らないが連れてきていたらしい。 高官やその奥方たちは、…