2019-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ゴリラの涙

2010/06/21 09:11 「涙と共にパンを喉におしこんだ者でなければ、人生の本当の味は分からない」 もう、随分昔の話だが、テレビで感動的なシーンに出くわした。ゴリラが涙を流して泣いているのである。確か雄のゴリラだったと思うが、雉猫を胸に抱いて泣いて…

太陽の賛歌

2010/06/16 22:52 黴臭い梅雨に入ってしまった。早くも太陽と青い空が恋しい。 きらきら輝く紺青の海を見ていて思うのは、あの煌きの一つ一つが太陽の欠片だということだ。木漏れ日を観察していても、複雑に葉と葉が重なり合い、奥にある葉が手前の葉に自分…

乳と蜂蜜

2010/06/13 14:51 約束の地ではないが、乳と蜂蜜は最も罪のない食べ物だと考えていた時期があった。罪がないというのは、牛もヤギも蜂も殺さないで済むからだ。ただ、殺しはしないけれども、文字通り彼らから搾取するわけだから、これでは泥棒に等しい。 し…

人牛について

2010/06/12 22:28 ミノタウロスについて、あるいは底辺のない人生について書くつもりではない。 かつて詩人のアーサー・ビーナード氏がこんなことを言っていた。「狂牛病はBSEと言われるが、これでは日本人にはその恐ろしさが伝わらない。だから、いっそ…

クールガイについて

2010/06/11 20:41 わたしの好きなクールガイの季節になってきた。これに鰹節をかけ、茗荷か生姜をきかせて食うと、うまいんだなぁ、これが。 クールガイとは、なにあろう、冷奴のことである。あの色白のわたしに似たハンサムボーイのことである。これに冷た…

眠れない男

2010/06/01 22:34 Wは、不眠症に陥っていた。もう何年、いや何十年になるだろう。眠れなかった。眠りたくて眠りたくてしようがないのに、どうしても眠れないのだ。いったい、原因は何なんだろう。彼は、朦朧とした頭で思い出そうとした。しかし、それは記憶…

心臓と寿命について

2010/05/28 22:25 AEDが普及してきている。最近では空港や駅、学校、その他の大型公共施設には大抵設けられている。AEDは、主として心室細動を起こした心臓(ぶるぶる震えているだけで、血液を送ることができない状態)に電気ショックを与え、除細動す…

骨について

2010/05/25 21:51 この間、テレビを見ていて大変興味深いシーンに出くわした。「世界一受けたい授業」という番組である。それに象の群れが登場するのだが、この群れ、なんと象の骨が一杯散らばっている場所にやってくると、大人の象も子象もしばしそこに留ま…

The eagle has landed(5)

2010/05/24 22:11 「鷲は舞い降りた」が素晴らしいのは、その一人一人の登場人物の個性描写にある。中でもリーアム・デブリンの個性は際立っていると言ってもよい。彼は、アプヴェール(ドイツ情報局)に拾われた元IRA闘士という設定になっているが、大学で講…

The eagle has landed (4)

2010/05/21 23:41 ラードル中佐がチャンネル諸島の一つオーデニーに飛び立ったところまで書いた。一人でではない。そのとき、彼には連れがいた。リーアム・デブリンである。 オーデニーでは、スタイナー中佐と彼の部下たちがメカジキ作戦と言う名の懲罰を受け…

シモネッタの哲学

2010/05/20 20:12 わたしは根が上品にできているのだが、それでもときどき他人を驚かすようなシモネッタを披瀝することがあるらしい。ちなみに、この「シモネッタ」は、わたしの知り合いのある上品で清楚で才媛の奥様が貸してくれた西原理恵子、・・・じゃな…

宗教の軛

2010/05/16 17:04 これまでに何回か宗教に関連するテーマを書いてきた。そうした中でつくづく思ったのは、日本とはなんと宗教的に自由な国であるかということである。 封建制度そのものは、ヨーロッパにおけるそれと大した違いはなかったかも知れないが、こ…

The eagle has landed(3)

2010/05/15 21:04 先日の続きを書く ラードルは、この書を目にしたとき、全身の筋肉が戦慄くのを感じた。もはや、このような、すべての扉を開けることのできる鍵を手に入れた以上、何事とて達成できぬことはない。ラードル中佐は、ヒトラーより作戦遂行のた…

モンキートライアルについて

2010/05/13 15:47 昔、「日本人とユダヤ人」を読んだ。その始めの方に、次のようなことが書かれていた。ある人が、たしか道祖神だったと思うが、手を合わせて拝んでいたら、傍にいた外国人に「そんなものに神はいませんよ」と言われた。そしたら、その日本人…

人間原理と神の存在について

2010/05/10 21:52 以前にわたしは人間原理の信奉者であると書いた。と言っても、別に「人間原理」教という宗教があるわけではない。というより、これは物理的な考え方、宇宙観なのである。ところで、物理と宗教とはいつもお互いに相容れないものとして反目し…

The eagle has landed

2010/05/10 15:05 もう30年近くも昔のことになる。ジャック・ヒギンズの「鷲は舞い降りた」に痺れたことがある。 これは、映画化もされ、ジョン・スタージェス監督の遺作となった。リーアム・デブリン役は、ドナルド・サザーランド。スタイナー中佐役はマイ…

神の領域

2010/05/09 19:26 神の領域 以前に「神と脳」というのを書いた。人間の脳には、顔細胞という人の顔のみに反応する細胞があることが分かっている。また、手の形や動きに反応する細胞もあるらしい。こういったことから、信仰心というようなものも、脳にこれを…

シュレ猫とpi

これは以前にも書いたことだが、ガリレイはピサの斜塔から物を落とさなくとも、落体の法則を発見できた。また、科学者は、アインシュタインの一般相対性理論によらなくとも宇宙の膨張を知ることができた。 それでは量子力学はどうか? シュレ猫が生きている…

文の煽り運転

最近の時事問題といえば、GSOMIAと煽り運転であろう。 タイトルは、これに阿ったわけではないが、わたしの頭の中では、文さんが今やっていることとこの煽り運転が非常に相性が良い、というよりも、全く同じに見えてしまうのだ。 だから、誰か絵の上手い人が…

「空気」の研究について3(血液型考)

2010/05/08 23:34 臨在感が日本人の気質とは切っても切れないものであることは良く分かった。また、ある種の臨在感の共有こそが「空気」の正体であることも理解できた。日本という国は、実にいろいろな「空気」で満たされている。まず、大きくは神道の空気に…

牛のふん

2010/05/07 22:11 たしか、日本政策研究センター主任研究員の岡田幹彦さんだったかが書かれていた。日本語というのは、婉曲で丁寧で実に美しい言葉であると。そして、これほど汚い言葉の少ない言語も珍しいとも。これは、名は体を表すというのと同じように、…

「空気の研究]についての考察2

2010/05/06 18:52 5月6日 木曜日 晴 15:40 昨日に引き続き、「空気の研究」の考察を試みる。先ほど、散歩がてらに BOOK OFFまで行って本を二冊買ってきた。イザヤペンダサンこと山本七平氏の「ユダヤ人と日本人」を購うつもりが、それがなくて「皇室…

「空気」の研究、「水=通常性」の研究について

2010/05/05 20:46 ようやく、この本を読み終えた。いや、目を通した。この分厚い思想のどのくらいの深さにまで思弁が届いたかも知れないのに、もうこのようなものを書く気になっているわたしとは実に軽薄短兵急な男である。 この本の著者、山本七平氏はイザ…

端午の節句に寄す

2010/05/05 13:41 今日はこどもの日。わたしたち大人にはもう二度と手にすることのできないその黄金のような日々をこどもたちが元気に過ごしてくれることを祈りたい。 しかし、無念というか現実は必ずしも幸福なこどもたちばかりではない。今日の産経新聞に…

The eagle has landed(2)

2010/05/02 21:18 鷲は舞い降りたの2回目を書く気になった。わたしは、あるときまで、この小説を本当に最高傑作として信奉していた。しかし、そのあるときをもって、突如としてヒギンズともども嫌になった。今、手元にあるペーパーバックの原書のページは黄…

共感覚と共感

2010/05/02 19:19 かなり前の話だが、帝京大学の高山正行氏が週刊新潮の中で加藤登紀子について書かれていた。 「日本という言葉を発するときにたえず嫌悪の匂いが私の中に生まれる」と加藤登紀子が言った・・・、というこれである。これは、一種の共感覚と…

南方熊楠

2010/04/30 08:26 もはや旧聞に属するが、粘菌についての大きな発見があった。北海道大学の研究グループが迷路の実験により、粘菌に知性があることを発見、証明したのだという。わたしは、これはおかしな話だと思う。そもそも、動物にしろ植物にしろ、またこ…

「日本よ、永遠なれ」の書評紹介

2010/04/25 23:47 今日25日の産経新聞「読書」欄には、IQ84という、わたしのお頭の程度には丁度良さそうな本の書評と並んで次の本についても面白い書評が載っていた。 1、山谷えり子さんの「日本よ、永遠なれ」止めよう、民主党政権の独裁と暴走2、…

失楽園

2010/04/23 20:43 ある麗らかな浅春の日曜日、トオルとミアは市の公園を指を絡ませながら歩いていた。昼下がりのSOLが、ミアの白いカーディガンやベージュ色のプリーツスカートの皺にスミレ色の柔らかな影を作っている。――最近SOLの力が衰えてきているようだ…

時よ止まれ 君は美しい

2010/04/22 13:19 春風駘蕩のある日、Wは近くの市立公園を散歩していた。赤や黄色、白、青と色とりどりの花で埋め尽くされた時計は午後の1時を示している。ミツバチが小さな唸りを上げながら花から花へ蜜を求めて飛びまわり、紋白蝶も華麗な舞いを見せてい…